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【キャバ嬢にハマって貢いでしまいます】
ソクラテスならこう言うね
〜恋愛・ビジネス相談所〜

2016.9.8
2016.9.8

真の快楽主義とは後ろめたさを感じないこと

日本の哲学者小川先生だからこそできる、哲学的・お悩み相談室!さて、今回の相談者のお悩みを紹介しましょう。

今回はなんと、「キャバ嬢に貢ぎすぎてしまう」という男性さんからの難問です。

Q.キャバ嬢にハマりすぎて、ついつい貢いでしまいます

こんにちは、妻子持ちの43歳の男です。 僕はいわゆる中堅企業のサラリーマンの課長職で、給料もとくに良いわけではないのですが...。ついついキャバクラでお金を使いすぎてしまいます。だって、若い子ってかわいいんですもん。奥さんは同い年ですから、 やっぱり20歳に魅力を感じてしまいます。 つい最近出会ったキャバ嬢も20歳いつもご飯の後はタクシー代1万円と同伴は必須なのですが、それでも会っている時は意味ありげな表情で僕を見つめてきますし、メールだって毎日きます。

たまにブランドものの鞄の写真が送られてくるので、 それを見れば極力買ってあげるようにしています。でも、このことを妻は知りませんし、知ったら憤慨すると思います。 少ない給料で、家計をやりくりしてくれているので...。でも、 止められないやめられない、それがキャバクラなんです。 どうしたらいいですか? ちなみにもうすぐ、そのキャバ嬢とセックスできそうな気がします。

A.とことんやって、痛い目に遭おう!それこそが快楽である。

妻子持ちでキャバ嬢にハマっている中年男性。一応悩みとして相談されているということは、この方も本当はダメだと自覚されているわけですよね。でも、なぜダメなのか? いや、肯定するつもりはないのですが、何かをダメだというからには、理屈をはっきりさせる必要があります。ここが哲学の大事な部分です。

さて、そもそもこの相談者さんは、違法なことをしているわけでもありませんし、家族に大きな迷惑をかけているわけでもなさそうです。家族が知ったら憤慨するだろうと書かれていますが、誰しも内緒の趣味くらいはあるでしょう。やり繰りできなくなるほど家計に影響を与えると問題ですが。

仮にそれほどではないとしたら、いったいなぜ悩む必要があるのか? ご本人は快楽にふけっているだけなのに。快楽を味わうこと自体は決して罪ではないはずです。ヘレニズム期の哲学者エピクロスは、快楽主義者として有名です。なんと彼は、快楽を得ることこそ正しいと主張しました。

もっとも、エピクロスの次の言葉によく耳を傾けてみると、私たちが思い抱く快楽との違いが見えてきます。彼は次のように言っています。「快楽が目的である、とわれわれが言うときに、われわれが意味していることは、放蕩者の官能的快楽ではない。ある人々が、誤解して、われわれの説を理解せずに、悪くとってそう考えているのである。そうではなくて、われわれの言う快楽とは、肉体において苦しまないことと、魂において混濁しないことなのである」と。

つまり、快楽主義とは際限なく官能的喜びにふければいいという思想では決してないのです。むしろ、肉体において苦しまないことと、魂において混濁しないことこそが快楽だと言っています。いくら楽しくても、肉体を苦しめ、魂が濁ってしまうような状態であれば、それは快楽主義にとって有害なので、ダメだとされるわけです。相談者さんの場合、キャバ嬢にはまることで、少なくとも自分自身が悩んでいるということは、もはや本当の快楽にとって有害な行いをしていることになります。だからダメなのです。

では、どうすればいいのか? エピクロスは薬を飲めばいいと言います。でも、この薬は医学の薬ではありません。知の薬です。快楽と苦しみの限界を知れば、真の快楽を享受でき、正しく生きられるということです。簡単に言うと、一度痛い目に遭えばいいのです。大金を騙し取られ、奥さんに激怒される。それが一番「いい薬」なのです。

昔から男は愚かな失敗を重ね、その経験がいい薬になったからこそ、今の快楽を維持できているのだと思います。快楽が維持できなくなっているときは、また薬が必要なのです。これは年齢にかかわりません。20代であろうが、40代であろうが、60代であろうが。さあ、心行くまで楽しんで、痛い目に遭いましょう! 本当の快楽のために...。

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Text:Hitoshi Ogawa
Photo:雪ボタン、Getty images

【小川仁志】
1970年京都市出身、京都大学法学部卒。伊藤忠商事に入社するも退職し、4年間のフリーター生活を経て名古屋市役所に入庁。その後名古屋市立大学大学院博士後期課程を修了し、博士号取得。2015年には山口大学国際総合科学部准教授となる。専門は公共哲学、および政治哲学。商店街で哲学カフェを主宰するなど、市民のための哲学を実践している。哲学に関する著書多数。 

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