「私が左車線を走っていました。工事の標識を見ていましたから、スピードは落ちていました。現場に到着すると向こう側にいる誘導員が棒を大きく振りと振り、こっちへ来いと促しているのがわかりました」。
対する手前の交通誘導員は「行け」なのか「待て」なのか曖昧な態度。これに真司さんは混乱したそう。
「困ってしまいましたね。しかし、よく見ると向こう側か自転車がこちらに来てるのが見えたんです。さらに遠くには乗用車の姿も見えました。私はこの状況では行けないと車を止めたのですが…」。
すると向こう側にいる警備員はさらに荒々しい態度で警備棒をこっち、こっちと振ったらしい。
「どうやら無理矢理このタイミングで行け、と言っているようでした。場所は住宅街ですし、どこかから子どもが飛び出してこないとも言えません。無理をしていく場面ではないと思ったんですけど…」。
次のタイミングで安全を期した真司さんが耳にしたのは、高齢者交通誘導員の怒鳴り声だった。
ーなんで行かねんぇんだよ!下手くそ!
手前側の誘導員は、それを見ているのか、見ていないのか。ぼんやりとしている様子だったそう。
【後編】では、さらに緊迫した高齢者警備員と真司さんのやりとりの詳細を追う。
取材・文/橋本 千紗
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