生理休暇は労働基準法によって定められている。使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならないと第68条に明記されている。同様に徐々にギアチェンジが求められるシーズンだ。
「定められていることを知らない人もいるかもしれませんね。無給か有給かは会社によって異なります。厚生労働省の資料によると令和2年度中に生理休暇を請求した女性労働者の割合は0.9%とごく少数。医師の診断書などが必要ないなど、申請の手続きとしてはハードルが低いもののなかなか浸透しないのは、やはり心理的にも業務的にも申請しにくいのでしょう」。
確かに生理休暇のネーミングも言い出しにくい。
「アンケートでも男性上司に申請しにくい、利用している人が少ないので申請しにくいが高い割合です。ほかには休んで迷惑をかけたくない、利用するほど症状がひどくない、男性社員の目が気になるという答えも。いずれにしても気軽に申請できる制度でないことは確かなようです」。
今回はそんな生理休暇をある理由で取りずらいと話すそう声をあげる女性を取材した。
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塚原のぞみさん(仮名・32歳)は、これまで生理休暇を何度か申請してきた。生理痛は相当ひどい方で、ピルを飲んでいるがなかなか症状はなかなか改善しない。
「生理になってからずっと症状は重めですね。人によって個人差があるのはわかっていますが、なんで自分ばっかり…と思ってしまうこともあるほどです」。
仕事中に貧血で倒れてしまったことがあり、迷惑がかかると生理休暇をうまく活用してきたそうだ。
「男性上司への言いにくさはありましたが、倒れたことをきっかけに比較的スムーズに受け入れてもらえるように。私が申請することで後輩や他の女性社員の申請へのハードルが少しでも下がるといいなと思っています」。
実際、のぞみさんの会社では、徐々に生理休暇への理解が深まっていると話す。
「男性社員も子育てしている人が多くて、理解が早かったように思います。年配の方が怪訝なムードのときも庇ってくれたり。女性社員同士で揉めることもなかったですし、会社は恵まれた環境ですね」。
実際、リモートワークも積極的に取り入れており、男女問わずに上手に活用しながら仕事をしているそうだ。しかし、のぞみさんにはひとつネックがあると話す。
「母親です。古い考えの人でリモートワークに対してもグチグチ言われました」。
ー家じゃ、仕事にならないでしょう。
ー会社に行ったほうがいいんじゃないの?
「正直今の世の中、これだけネットが発達していたら、特殊な業界以外は全然家で仕事ができると思います。でも母にはそれがわからないんですよね。出社してこそ!みたいな。幼い頃から、学校も何がなんでも行け!というタイプで、本当に大変でした」。
のぞみさんは母親との折り合いが悪く一度は家を出たそうだ。しかし、昨年母が体調を崩し、戻ってきているんだそう。
「本当は離れて暮らしたかったんですけど。一人っ子かつ父親が他界していることもあり、仕方なくという感じです」。
そんな母親は生理についても古い考えを持っているそうで、のぞみさんは月に一度体調不良だけでなく、精神的な苦痛も味わっていると話す。