■都道府県によっては条例で禁止しているところも
エンジンをかけたままにしておくことはまた、都道府県の条例で禁止としているケースが多く、東京都の場合は、「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」(「環境確保条例」)において、クルマの運転者にアイドリングストップの遵守を義務付ける、としています。
ガソリン車だけでなく、すべてのクルマが対象であり、「自動車公害監察員(自動車Gメン)」が、路上でのアイドリングストップ指導を行っているそうです。違反者には必要な措置をとるように勧告し、勧告に従わない場合は、氏名などを公表する、という措置がとられるとのことです。
■運転者には、他人に無断で運転されることがないようする義務がある
エンジンをかけたままクルマを離れることについては、盗難の危険もあります。クルマのキーがスマートキーの場合、エンジンをかけた状態でスマートキーを持ったままクルマから離れると、警告音が鳴りますし、そもそもエンジンをかけた状態で車外からリモートロックすることはできません(スマートキーに格納されているアナログのキーを利用すれば、施錠することは可能です)。
そのため、エンジンをかけたままクルマを離れるときは、キーを車内に置いてクルマを離れるということになり、非常に無用心。また、警告音を無視してスマートキーを持って離れたとしても、エンジンをかけたままだとスマートキーがなくてもクルマの操作ができてしまうため、盗まれる危険は十分にあります。
また、車内にお子さんが乗っていた場合など、お子さんが大人の真似をして運転操作のようなことをして遊ぶ、などをしてしまうと、不意にクルマが動き出してしまう、という危険も。
前出の道路交通法第71条の5の2においても「自動車又は原動機付自転車を離れるときは、その車両の装置に応じ、その車両が他人に無断で運転されることがないようにするため必要な措置を講ずること。」とされています。盗まれた車は、犯罪に使われる可能性もあります。そうした事態にならないよう、運転者には、しっかりと措置を講じておく義務があるのです。
■わずかな時間でも油断は禁物!!
エンジンをかけたままクルマを離れることは、道路交通法や都道府県の条例に違反したり、盗難の危険がある、というだけでなく、環境面においてもよくない行為。無駄なアイドリングは、余計な燃料消費でしかありません。わずかな時間であっても、クルマを離れる際はエンジンを止め、しっかりと施錠するようにしてください。
Text:吉川賢一、エムスリープロダクション
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