最近よく目にするアドラー心理学の創始者でもあるアルフレッド・アドラーは「人間の悩みは、すべて対人関係にある 」と述べている。確かに言い得て妙である。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「本当にこれにつきますよね。会社でも家庭でもそのほかでも結局のところは人間関係です。互いの努力の上に、成り立っているとも言えそうですね」。
特にうまくいかない人間関係もそこには存在する。
「よく耳にするのは、上司部下、親子、嫁姑、この辺りでしょうか。特に家庭内の問題は、近しいがゆえに拗れがちですよね。私も相談を受けることが多いです」。
今回は、嫁との距離感について、突然悩みを抱えてしまったと話す姑に話を聞いた。
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杉山文子さん(仮名・72歳)には、娘と息子がいる。一昨年、息子がやっと結婚したことで肩の荷が降りたと感じたそうだ。
「こんなこと言うのはよくないことだとは思いますが、やっぱり40歳で独身と聞くとちょっと、先々が心配でしょう。結婚してくれて本当にほっとしました」。
お嫁さんとはマチアプで知り合ったと、後から知った。
「マチアプって言葉も知りませんでしたから、驚きましたけど、最近はそう言うもんだって聞いているのでそのことについて何かを言ったことはありません。それにお嫁さんすごく感じのいい人だったので気にならなかったんです」。
息子40歳、嫁42歳で結婚式を迎えたそうだ。
「こじんまりとした式でしたが、すごく素敵なものでした。軽井沢の教会でごく親しい人だけを招いて行いました。お相手のご両親も素敵な方でしたし、私たち夫婦も胸がいっぱいで…」。
とここからしばらくは、絵に描いたような家族、嫁姑関係だったと話す。
「頻繁な行き来とかはありませんでしたけど、たまにLINEでやりとりをしたりなんかして。年末年始は、挨拶に来てくれますし、旅行が趣味の2人なんですが、お土産なども送ってくれたりしていたので、すっかり仲のいい嫁姑関係だと思っていたんですが…」。
そう感じていたのは文子さんだけだということがある日突然判明する。
「結婚して1年が過ぎた頃でした。1周年にどこかに食事でも連れて行ってあげたいね、と夫と話をして連絡をしたんです。ところが待てど暮らせど、返信が来なくて…」。
しびれを切らした文子さんが息子に連絡するとひとこと「気を使わなくていいよ」の一言だけが返信がきたそうだ。