「オバさん感ヤバい、といきなり言われました。アームカバーしてダサさ感じさせないのは若くてかわいい女子だけだよ、と」
長年夫婦をやっていると、言葉に対しての感受性が鈍りがちだ。デリカシーのない発言でも、「軽口」程度にとらえてしまうことはよくあることなのかもしれない。しかし、ほのかさんはアームカバーを着けただけで「オバさん」と言われたこと、若い女性と比較されたことにことのほか傷ついた。
「そんな格好するなんて、自分からオバに寄せていっているとしか思えない。開き直ったら女捨てたと思われても仕方がない、とまで言われて、恥ずかしくて、悔しくて…」
しかし、最初のうちは素直に怒りを表現することができなかったというほのかさん。
「確かにオバさんなのでムキになって怒るのもどうかと思い、『だって去年は腕が真っ黒になっちゃったんだもん』と反論するのが精一杯でした」
学生の頃からファッション誌を読み漁り、アパレル店でアルバイトしていたこともある夫は自らのセンスに大いなる自信を持っている。
「知らず知らずのうちに、夫がダサい、ダメ、と言うものを回避するようになっていました。着るものでさえ夫のご機嫌取りをしていたんですよね。うちはダンナが主導権を握っている時代錯誤的に亭主関白な家庭なので。でも、もうそろそろ結婚14年にもなりますし、夫は夫、自分がいいと思うものを身に着けようと割り切りました」
かつては夫の意見に唯々諾々と従い、「夫色に染まって」きたほのかさんだが、自分がそこまでダサいと思えなかったアームカバーを、今後は使い続けることにした。しかし…
「『あなたが何と言おうと、私これ着けていくわ』とアームカバーを外さなかったとき、夫が返した言葉にア然としてしまいました」
☆夫がほのかさんに放った「トンデモ」発言と、その後の夫の言動から見えた本音の「女性観」とは?後半へ続く☆
取材/文:中小林亜紀