あなたは隣近所に住んでいる人との関わりはあるだろうか?ご近所付き合いが希薄になっているとされる現代、それによる弊害はあるのだろうか。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「ご近所付き合いと聞いて、煩わしいと感じる人も多いのではないでしょうか。昭和のようなお付き合いは、少なくとも都心部ではあまり感じられません。子供がいればまだあるでしょうけど、いないとまるでないケースも。特にマンションなど集合住宅では、どんな人が住んでいるかわからないことも少なくありません」。
平塚氏はネットの浸透も大きく関与していると話す。
「昔は人に直接聞かなければわからなかったことも、今は手元のスマホで調べることができます。そういう点からもわざわざ人間関係を築く必要がないのかもしれません。一見便利ですが、ネットの情報やそこで築いた関係性は脆い。リアルでなにかあったときに助けてくれる可能性は低いですよね。無理してご近所付き合いをしろとは言いませんが、心地いいお付き合いはあったほうがいいようにも思えますね」。
今回お話を伺ったのは、ゴミ捨てをめぐってご近所とトラブルになっていると話すある女性の話だ。
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山形莉子さん(仮名・39歳)は、看護師として働いている。
「仕事はとにかく忙しくて、結婚とかそういう気持ちにはなかなかなれません。実際のところ、出逢いも全然ありませんし…。それで実は最近、一軒家を購入したんです。中古なんですけど、昔から庭付きに住むのが憧れだったんです。マンション購入はなんとなくピンとこなくって…」。
驚いたのは、1人で引っ越してきたと挨拶回りをしたときのことだ。
「ご近所にはそこそこ新しいマンションやアパートもありますが、一軒家が多い地域。長らく住んでいらっしゃる方が多いと不動産屋さんも話していました。引っ越し前は普通の住宅街ってイメージでしたが、いざ引っ越してみるといろんなことがあるもんですね。まず、挨拶回りをしたときのこと。何人かには怪訝な顔をされてしまいました。おそらく、独り身で家を買うなんて…ということなのでしょう。この歳で独身だといろいろ言われるのには慣れています。結婚はまだ?とか、子どもはどうするの?とか。でもご近所という赤の他人、しかも出会ったばかりの人たちにまでこんな態度を取られるとはちょっと驚きましたね」。
−ご家族は?
−えっ?お1人であの家を買ったの?
−ご結婚予定なのよね、きっと。
こんな言葉を掛けられたのだと話す。