「スリットが入ったワンピに逆セクハラ、男性社員のメイクにはビジュアル系、ワイドパンツにはボンタン…こんな感じで嫌味を言ってくるんです。本人は言い得て妙みたいに思っているみたいですけど、言われる方はそう思っていません。もちろん過度な露出や派手すぎるカラーなんかは控えていますし、自由と言ったって節度を保った範囲です。それなのに、とにかく言いたいんですよね。会議の冒頭はだいたいこの話題です」。
そんな上司の口癖は「会社は遊びに来るところじゃない 」だ。
「そんなことわかっています。最後はお前たちは自由を履き違えていると会話を閉めるのがお決まりのコース。ショートパンツを履いているわけでも、キャミソールで着ているわけでもないのに、なんだそのリゾートファッションは!とか言われたこともありましたね。未だスーツ以外は認められないとでも本心では思っているのでしょう」。
部長本人は、とにかくファッションには無頓着。
「清潔感がまるでない部長の方こそ、よっぽど問題だと思います。夏になると少しニオイますし、スーツはいつもクタってなっている。誤解を恐れずに言えば、不衛生です。でもなかなかそれに注意できる人がいないんです」。
そんななか事件が起こる。
「暑さが厳しくなった7月。ある男性社員が日傘をさして通勤したんです。その姿を見かけた部長が彼にありえない発言をしたんです…」。
ー日傘なんて男がさすもんじゃないだろ。女のもの。気持ち悪い。
「日傘は女性のもの」「日傘は男性らしくない」そんなジェンダーバイアスだ。【後編】では部長のさらなる、時代遅れ発言とそれに賛同する声に着目する。
取材・文/悠木 律
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