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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「女子どもは守らなきゃ…」昭和脳丸出しで恥ずかしい小4息子が、なぜかママ友から絶賛される現代的な理由

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

先だっての東京都知事選挙で快進撃を見せた石丸伸二氏が、選挙後にわかに評判を落とし連日騒ぎになっている。

対話回避型の態度が嫌われたり、人口減の対策として一夫多妻制を挙げてヒンシュクを買ったり、はたまた「女こどもが……」発言が槍玉にあがってあちこちから猛批判を浴びるなど、もはや選挙中の破竹の勢いはいずこへ、である。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、石丸氏の「女こども」発言についてこう指摘する。

「昔は普通に使われていた言葉の中にも、現代ではタブー視されているものはたくさんあります。とりわけ男尊女卑的な言葉は禁句中の禁句のようになっていますよね。
しかし、言葉だけ取り繕っていても、本音はどうかわからない人も大勢います。今の時代は、表面だけジェンダーフリーの顔をしている『隠れ男尊女卑』など、いくらでもいるかもしれませんよ」

今回は、小学4年生の息子が小さい頃から男尊女卑と取られかねない言葉を日常的によく使ってきたが、言葉と連動している息子の価値観自体がすべて悪いとは言い切れない気がしている、と語る女性の経験談をお伝えする。

「息子はおばあちゃん子で、小さな頃から時代劇好きなせいか、『男まさり』『めめしい』『女だてらに』など、今では口にするだけで批判されるような言葉をよく使います」

こう話すのは森園美鈴さん(仮名)。夫とともに小学校4年と5年の男児を育てる会社員だ。

「保育園のときは『女は下がっておれ』もよく言っていました。小学校に上がってからは時代劇まんま口調こそ減りましたが、たまに出ますし、価値観などで大きな影響を受けている事実は変わりません」

明らかに時代に逆行する言葉選びは親として気になったが、小さな子の発言だからなのか、周囲からはそれほど問題視されることはなかった。どちらかというと、言葉よりも、男の子どうしの取っ組み合いのケンカで迷惑をかけることの方が多かったという。

「水戸黄門、暴れん坊将軍、必殺シリーズなどの有名どころから、大岡越前や遠山の金さん、鬼平犯科帳など、いまの若い人は名前も聞いたことがないようなものまで、息子はとにかくたくさんの時代劇を観ています」

義父の書庫に並んでいるVHSの録画やDVDなどを通じ、美鈴さんの息子は保育園の頃から時代劇を浴びるように見て育った。

「まわりのお子さんたちがディズニーランドやアンパンマンミュージアムに行きたがるなか、うちの下の子は京都太秦撮影所や時代劇俳優のショーなどに行きたがっていましたね。周りからも面白がられていました」

表現が随所で男尊女卑的だとの批判もある時代劇だが、勧善懲悪のストーリーが基本であるせいか、慣れさえすれば子どもにもわかりやすく、セリフが理解できなくても楽しめたようだ、と美鈴さん。

「必ず『悪い奴』がこらしめられる単純なお話が痛快だったと思うんです。もともと正義感の強い子ではありますが、おばあちゃんの時代劇好きと昭和的な考えにかなり染まっています」

時代劇脳を持つ息子は、今の時代にそぐわない言葉遣いを好んでしてきた。

「新聞紙を丸めた剣で園のクラスの女の子とちゃんばらごっこみたいな遊びをした時も『女だてらになかなかの剣さばき』とか言ってたらしいんですよ。語感が気に入っているのか、『女だてらに』は今もよく使います。このまま社会に出たらアウトですよね」

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美鈴さんの息子は、言葉だけではなく、価値観自体も古めかしい。

「息子を時代劇漬けにした張本人である義母が『男のくせに』みたいなことを躊躇なく言う人なんですが、息子はかなりそこから影響を受けています。男のくせに泣くなとか、男がべらべら自分のことを話すなとか、義母がそういった前時代的なことを息子にばんばん言うものですから」

女の子を低く見ているというよりは、時代劇を通じて、女性や小さい者は男が守るもの、という意識を強く持つようになった息子さん。それ自体が悪いことだとは思えないが、いまの時代ではこうした発想がむしろ男性差別ととらえられそうだ、と美鈴さんは危惧する。

「保育園の時から、年下の子や女の子に乱暴や意地悪している子などを見つけると『女こどもに手をあげるたぁ、許しちゃおけねえ』と町人口調になったり、『ええい、いさぎよくせっぷくいたせ』とか将軍口調になったりしながら、時代劇のキャラクターになりきって、いじめる子に向かっていってたんですよね」

息子さんは、単に役を演じたいだけではなく、実際に弱い者いじめしている子などを見ると見過ごすことができない。

「この〇〇がせいばいしてくれるから覚悟いたせ、とか言いながら殴りかかったりして、保育園の頃は何度も相手のお家に謝りに行きました」

正義感と思ってやっていたことだが、結果的には暴力行為となってしまうので、よそのお子さんに怖い思いをさせ、保育園の先生の手もかなり煩わせてしまった、と美鈴さん。

「正義感は大事だけど、自分がお友達を叩いてちゃ意味ないよ、と叱るのですが『身から出たサビよ』とか『おてんとさまは見逃しても、このおいらの目はごまかせねえ」とか……ふざけてるのかって感じで(苦笑)」

小さな頃からおばあちゃん子で筋金入りの時代劇ファンだった美鈴さんの息子は、周囲から面白いけど面倒臭い子、暴力的な子として扱われていた。しかし、小学校の中学年になると、周囲のママ友から「息子さんの大ファンよ」などとしばしば声をかけられることになったという。その理由とは?後編で詳報する。

取材/文:中小林亜紀

PHOTO:Getty Images

▶︎後編に続く


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