広島高裁の出した判決が大きな波紋を呼んでいる。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「簡単に述べれば、必ずしも手術をしなくても性別の変更を認めるという判決です。高裁は申立人がホルモン治療の後、性別変更後の性器に近しい外見を持っていると判断して、性同一性生涯特例法の要件のうち変更後の正規部分に似た外観を持つという規定を満たしたと判断したわけです」。
申立人は戸籍上は男性。性自認は女性だという。
「性的マイノリティの方達への配慮はなされるべきです。しかし、性自認が女性である人がトイレや女湯に入ってくる可能性に恐怖を訴えるマジョリティの声も理解できます。公衆浴場法にはこれに関する記載はないそうですから、現時点では各施設に判断が委ねられることになります」。
今回は見た目が男性である人に女子トイレで遭遇したという女性の話だ。
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角谷はなさん(仮名・39歳)は、保育園に通う子供を持つワーママだ。
「性的マイノリティの友達がいることもあって、抵抗感は基本的にはありません。息子や娘がそうならないとも限りませんし、できる限り、そういった人たちの権利が守られる社会であって欲しいと思っています」。
でも…と続ける。
「実際にトイレで鉢合わせたときは、本当に驚きました。ですから、今回のこの問題も他人事じゃなかったというか…」。
それは2ヶ月ほど前のことだったと話す。
「雨の日が続いている週末で、子どもが体力を持て余していたので家族でスーパー銭湯に行きました。私は4歳の娘と夫は5歳の息子を連れて風呂に入ったんです。久々の広いお風呂にテンションが上がっていたんですが…」。
次の瞬間、ムードが激変する。
「娘と施設にある大きめのトイレに行ったときのことです。風呂場にあるトイレは混んでいるので、先に済ませていこうと思って。トイレは空いていて、中にいたのは年配の女性1人だけ。私は娘と隣同士のトイレに入りました。中から大丈夫?なんて声をかけながら用を足し外に出るとおじさんが入ってくる姿が見えたんです」。
はなさんは咄嗟に目の前にいた娘の手を引いたという。