ネット上での誹謗中傷問題が深刻化している。実社会はとうにストレス社会と呼ばれて久しいが、ネット社会でも日々誰かが誰かに傷つけられ、その傍観者さえ疲弊しつつある。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はネットでコメント投稿する人が陥りやすい状態についてこう語る。
「ネットで毒を吐く人の中には、自分が誰かに誹謗中傷をしているという意識のない人も多くいるようです。
正義感の強い人が世直し意識からコメントする場合もあれば、日常では使わない過激な言葉を使ってストレス発散したり、『いいね』欲しさからの投稿だったりする場合もあるかもしれません。
いずれにしても放った言葉は、良きにつけ悪しきにつけ誰かに届くのだということを肝に銘じておきましょう」
今回お話を聞いたのは、小学6年生・4年生の子供を持つ会社員・錦田春奈さん(仮名)。春奈さんは、夫(46歳)がネットで誹謗中傷と取られかねないようなコメントや妻にとってショッキングな投稿を繰り返している事実を知り、相手への不信感を募らせているという。
*この記事は取材に基づいていますが、取材対象者のプライバシー保護のため編集を加えています。投稿文も実際の内容を編集しています。
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「夫がSNSにハマっていることはだいぶ前から知っていましたが、配信記事にコメントしていることは最近になって知りました。
普段は家族に対して穏やかだし、浮気やギャンブルとも無縁な人で、どこからどう見てもいたって普通の会社員。だからこそ、彼の別の顔を知った時の衝撃は大きかったですね」
春奈さんは夫がSNSをやる目的を、長年知らずにいた。大ファンである某スポーツチームについて語り合うためのアカウントを持っている、としか聞いたことがない。
「夫がネットでコメント魔になっていることを知ったのは偶然です。彼は一昨年ほど前から老眼がひどくなり、SNSをスマホよりもPCで見ることが増えたのですが、ある日キッチンで洗い物をしたあと、リビングの一角にあるデスクを通りかかると、夫がマウスを握ったまま寝落ちしていました。私、PCで夫が開いていたページに目が釘付けになって……」