「店は新体制になったので、現在スタッフが共有している個人資料は改良されています。お客様の来店日時と受けられたコース、お気に召したアロマオイル、物販の購入実績など、基本的には簡単な申し送り事項だけを記入します。
ただ、特筆事項があり、そこには他のスタッフに共有すべきお客様のプラスアルファ的な個人情報を記録することもあります。最悪お客様に見られても大丈夫な書き方しかしてはいけない、というルールになっていますが」
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特筆事項には、スタッフ間で共有すべきお客さんの情報を書く。巨大ショッピングモールに出店しているというこの店には、年間のべ4000人以上の来客があるそうだ。少しでも顧客満足度を上げるため、客が口にしたニーズや不満を書き込むのだという。しかし……。
「お客様から聞いたクレームやご要望などだけでは共有情報としては不十分なんです。トラブルを避けたり、スタッフの身を守ったりするためには、やむを得ず失礼に当たるかもしれない情報を書き込むこともあります」
たとえば、オプションサービスを勧めたら激怒された、スタッフの外見についてイジりたがる、セクハラまがいの言動がある、などは女性スタッフの多い職場では重要な共有情報となる。書いて引き継ぐことで対策が取れる場合もあるのだそう。
「現店長が理性的な引き継ぎ資料の書き方をルール化してくれたので、今は中傷となるような書き方にならないよう、みんな気をつけていますが、前の店長は悪口そのものを書き込んでいてひどかったです。他にもああいうサービス業者は、実はたくさん存在するのかも」
前店長の退職騒ぎにまで発展したという個人情報の申し送り内容とは、想像以上に「中傷」そのものだった。後半で詳報する。
取材/文 中小林亜紀
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