「町内会費の予算には慶弔/交際費がありますが、これは言い換えれば、呑み代です。もちろんお年寄りが多いから、香典に使われることもありますが、それを持っていった先でも結局はお酒を飲むんですよね。何のための香典なのか…。もちろん裏金なんてあって当たり前。みんな自分のこととしか考えていません」。
若い人や地元の人から非難の声は上がらないのだろうか。
「ずーっと地元に住んでいるような人は感覚が麻痺しているんです。これが当たり前だって。本当に異常ですよ。私も参加した当初は同年代にこのままじゃまずいんじゃない?と言いましたが、みんなもはや思考停止。諦めモード?いや、このままいけば、自分たちもそうなれるという打算的な気持ちすらあるんじゃないかと疑うほどです」。
そんなある日のことだ。明子さんはどうしても見逃せないある事件を目にすることになる。
「町内会メンバーのなかでも最長老、名誉会長である立花さんは地元の名士。不動産業を営んでいる上、地主ということもあり誰も何もいえない、そんな感じです。今の会長は言わずもがな、長男。私の中学の同級生にあたります」。
その立花親子が先日行われた地域の防災行事でセクハラを働いたというのだ。
「その訴えを起こしたのは、20代の小学校教諭です。赴任してきたばかりで正義感が強いタイプと聞きました。長男から会話の流れでセクハラを受けたという」。
ー〇〇先生と付き合っているって本当?
その言葉から始まったセクハラは今の時代とは思えない。性生活にまで踏み込む、あまりにもゲスいものだったそうだ。行われたのは、防災行事後の親睦会だ。女性教諭はその発言に我慢ならず、問いただしたところに明子さんも居合わせたのだ。
「結構広い宴会場で、私は騒ぎが大きくなってから気がつきました。周りにいた人の話では、まぁまぁと先生を止める声があったそうなんですが、それを振り切って主張をしたそうです」。
先生は終いには泣き始めてしまった。その惨状に誰もが、立花親子が謝ると思ったという。
「でも謝らなかったんです」。
【後編】では、立花親子のとんでもない言い訳とその後についてお話をさらに詳しく聞いていこう。
取材・文/悠木 律