■「全高」ではなく「全長」で勝負してはどうか?
そんなオデッセイの次期型は、どのようなモデルとなるのが理想なのか。アルファード/ヴェルファイアと真っ向勝負するならば、全長、全幅、全高を同サイズにまで大型化したラージミニバンとする必要がある。が、オデッセイはやはり低い全高あってこそ「オデッセイ」であり、ホンダがこのオデッセイの低床・低全高コンセプトを変えてくることは考えにくい。
オデッセイはおそらく次期型でも、走りのよさをうたう背の低いミニバンのキャラクターを極める方向へと進んでくるはず。ただやはり、既存のオデッセイオーナーが買い替えたり、アルファード/ヴェルファイアを好まないミニバン購入希望者を「おっ」と思わせるようなスパイスは欲しいところ。
そこで提案したいのが、全長を長くすることだ。北米には、日本のオデッセイ(全長4855mm、全幅1800 /1820mm、全高1695~1725mm)よりもひと回り大きなオデッセイ(全長約5161mm、全幅約1993mm、全高約1734~1767mm)がある。ちなみに、アルファードのボディサイズは全長4995mm、全幅1850mm、全高1935mmなので、アルファードよりも長くて幅広だ。
ホイールベースも長くなると、最小回転半径は大きくなってしまうだろうが、たとえば、この北米オデッセイのように全長を長くすると、オデッセイらしさは残しつつ低全高ミニバンとしての意地も示すことができ、アル/ヴェルとは違うアプローチもできて、いいように思う。全幅は日本市場の都合に合わせ、1850mm程度には抑えたいところ。価格帯は全然違うが、トヨタセンチュリーのような異様なオーラが醸し出せるといいのかもしれない。
■パッと見て誰もがわかるような魅力を!!
そしてパワートレインは、ガソリンハイブリッド車(e:HEV)を中心に、プラグインハイブリッドやバッテリーEV、さらにはe:FCEVのグレードも期待したい。ホンダは、2030年までに全世界でEV/FCEVを200万台強(年間の生産計画)、2040年までに全世界でBEV/FCEV販売比率を100パーセントとすることを目標(2024年5月現在)としている。この点はまだアルファード/ヴェルファイアが手を付けていないポイントであり、これを国産ミニバンとして最初に実現させることには大きな意義があると思う。
とにかく、従来モデルの「走りがいい」という若干伝わりづらいウリ文句だけで戦うのではなく、パッと見て誰もがわかるような魅力が欲しいと思う。はたして次期型オデッセイはどのようなモデルになるのか、今後が非常に楽しみだ。
Text:吉川賢一
Photo:HONDA