孫に会えなくなって久しいが、孫が通う中学には、みのりさんの複数の友人の孫も通っており、情報はいくらでも入ってくる。
「言いたくはありませんでしたが、みんな噂で知っているでしょうから、友達にも息子の事情を話してあります。その恥と引き換えに孫の情報が入ってくるようになったんです。
うちの孫は陸上部に入って、1年生の1学期までは普通に登校できていたそうです。
でも、2学期からは1度も通常登校できていません。参観日などには、息子の姿を見て振り向く子供や保護者もいるそうで、孫が学校にいづらい気持ちがたやすく想像できますよ」
みのりさんは他にもさまざまな不安に駆られている。
「初潮が来たとき、息子はどう対応してやったのだろうか、これから来るのだとしたらどうするのだろうかと思ってしまいます。
思春期の女の子の心身の変化に息子がきちんと寄り添えるのか…………できるわけありませんよ。
お父さんだった人が、今では女の姿で母親を名乗っている…………そんな異常な環境のなかで孫の人格形成がまともになされるのか、本当に不安です」
異常な環境、と言い切ることに強い偏見を感じてしまうが、みのりさんは当然のようにそう発言する。さらに、息子のパートナーについても不信感がある、とも。
「まともな相手なら、親と和解するよう促しませんか?」
みのりさんには他にも基本的な疑問がある。
「相手の男は女の格好している息子が好きなのでしょうか。それは女が好きということになるんですか? だったら、そんな人と年頃の孫が一つ屋根の下で暮らして大丈夫なんでしょうか」
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