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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「大丈夫だから」を鵜呑みにした私がバカだった。ゴミをため続ける母親の「娘も気づかなかった異変」

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

環境庁の調査によると、ゴミなどが屋内や屋外に積まれることにより、悪臭や害虫の発生、崩落や火災等の危険が生じるいわゆる「ゴミ屋敷」問題について全国の自治体に調査した結果がある。直近5年で認知されているものだけで5000件を超えているそうだ。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。

「都道府県別でみると東京が880件と最も多く、愛知、千葉と続きます。5224件のうち2588件と半数近くは、指導や支援のもとで改善されたと調査からは読み取れます。しかしながら、これは対外的に見て取れるゴミ屋敷についてです。表面上わからないゴミ屋敷も存在する可能性が高い。これはひとつの社会問題です」。

ゴミ屋敷に至ってしまう背景には、経済的および精神的な問題、さらには地域からの孤立など、さまざまな闇が見え隠れする。

「ただ片付ければ終わり、というわけにはいかないのがリアルなところでしょう。そこには何らかの原因がある。他者に頼ることのできない事情や環境も関係しているのかもしれません」。

今回は、数年ぶりに訪れた実家がゴミ屋敷と化していた女性に話を聞くことができた。

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©︎GettyImages

徳島美香さん(仮名・44歳)は、都内で暮らして今年で25年になる。

「私は19歳で上京しました。2つ上に兄がいるんですが、彼も19歳で上京したので、私が家を出てから母は実家でひとり暮らしをしています。もともと淡白な家族関係というか、べったりすることなく育ちました。だからかな?実家への帰省も私は、3年に1度のペース。兄に至っては海外暮らしをしているので、10年以上帰っていなかったんじゃないかな」。

コロナ禍になったことも大きかった。

「コロナが流行した頃、東京は感染爆発的な雰囲気だったでしょう?そういう事情もあって、帰りにくくなってしまった…というのは建前でそれ以前から、ちょっと面倒臭かったんです。年老いた母に会うことも、私の人生にいろいろ言われることも…」。

美香さんは10年前に結婚。子どもを1人もうけたが、3年で離婚。子どもは夫が親権を持ち、育てている。

「こんなこと言うとおそらく引かれると思うんですけど、子どもがさほど好きじゃないんです。自分の子はもちろん愛していますよ。責任をもって育てていくつもりですし、今も1ヶ月に1度は会っています。でも育てるのは夫の方が向いていると思ったんです。だから大きく争うことなく、親権は譲りました。ただ、母はこの判断に反対をしていました。自分が女でひとつで2人の子供を育てたことも大きかったんでしょう」。

そんな事情もあり、美香さんは実家から足が遠のいていたという。それがこの夏から、とある事情があり、毎月、実家に帰ることになったというのだ。

「私の知る母は、とても真面目な人。学校の先生をしていたこともあり、きちんとしていたんです。だからその連絡がきたときは、本当に驚きました」。

ーお母さん大丈夫?

そう連絡をくれたのは、美香さんの中学時代の友人だった。

「FacebookのDMに連絡をくれたんです。同じ団地に住んでいた友人で、彼女の実家もまだそこにあります。あまりにも久しぶりだったんで驚きました。連絡をくれたこともその内容も。何が?と送るとすぐに返信がありました」。

何でも彼女の母親が最近、美香さんの母の様子がおかしいと話すのだという。朝よく会っていたゴミ捨て場に姿を表さないこと、団地の総会にも姿を見せなかったこと、そしてベランダにゴミ袋が積み重なっていること。

「でもこのときはまだ、母はしっかりしているし何か事情があるのだろうと心のどこかで思っていました。正直なところ、仕事も忙しい時期だったし、ここまで聞いてもすぐに帰る気持ちになれませんでした。だから、とりあえず電話をかけてみることにしたんです」。

電話をすると母はいつもと変わらない雰囲気で美香さんは拍子抜けしたと話す。

「元気にしているわよって。いつもとまるで変わらない声、対応で安心しました。友人からの情報についてさりげなく聞いてみるとモノが多すぎるから、終活的な断捨離をしていると言っていました。私はこの言葉を鵜呑みにしてしまったんです」。

しかし、2ヶ月後、美香さんは変わり果てた自宅を訪れることになる。【後編】ではゴミ屋敷と化した実家を訪れた美香さんとその後の母とのやりとりについて、詳しく話を聞いていきたい。

取材・文/悠木 律



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