「それでも、やっぱり彼女は時々私のことを心配するような感じで連絡をくれて、頼んでもいないのに薄っぺらい格言みたいなことを言ってくるんです。『そんな自分で生まれてきたってことにきっと意味があるから』みたいな」
カウンセラーとして活動することで嫌いだった自分を少しずつ好きになれた、というのがAさんの口癖だそうだが、芽衣子さんはあれこれ分析めいたことを言われることに困惑している。
生きづらい自分を鼓舞するために誰かを励ましたくなるという心理はわからなくもないが、聞く側としてはどうやってその話題を終わらせるべきか、そればかり考えるのが苦痛だ、と最後に語って芽衣子さんは苦笑いした。
取材・文 中小林亜紀
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