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「給料が高いだけで無能な用無し…」昭和の管理職オジサン(51)がいまさら直面する「贅沢な憂鬱」

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「大人数をまとめるのは骨が折れる作業です。本当に文句ばかり言う奴も多くて。そういう奴にはときにはガツンと言いますよ。人を怒ったり、管理するのって本当に疲れるんですよ。こんな誰もやりたくない嫌われ役をやっているのに、役職定年がくるなんて通りに合わないですよね、まったく」

そんな康は今、1人の部下に手を焼いているという。彼は42歳。康曰く、海外育ちの自由人。日本のやり方をわかっていない、そんな男らしい。

「最近入ってきた転職組で、上からはかなりのやり手だと聞いていたんだけど、僕からすると全然。仕事ができるとか、できないとかそんな話の前に最低限、日本のルールというのかな? そういうのがわかっていないんです。

例えば基本の言葉遣い。敬語とか尊敬語はからきしダメで、タメ口になってしまうことも多いんです。それに年上を立てるとか、スタンドプレーをしすぎないとか、そういう企業人として基本の「き」がまるでできていない。常々注意をしているんですが、全然聞かないんですよね」

さらに康を悩ませているのが、部下の多くがその彼を慕っていることだという。

「彼は背が高くて、見た目もおしゃれ、話がうまいところがあって、みんなの気持ちを惹きつけるのが上手い。そのなんというのかな、チャラさみたいなものに部下たちが引きずられるというか、影響されるんじゃないかと心配しているんですよ」

康はそれからも事あるごとに、彼に注意をした。その注意のほとんどはルールに従えということだった。それに対し、彼はルールを変えればいいのではないか、そんな類の提案を幾度となく、康にぶつけてきたという。

「例えば、毎週月曜の13時に定例の会議をしているんです。その会議を金曜の10時にしたらどうかと。でもこれまでずっとこのスタイルでやってきたんですよ、私が部下の時代から。そのルーティンをわざわざ変える必要があるとは感じないと突き返しました。すると金曜の10時にする方がより効率的であるというデータをまとめたものを持ってきたんです。こんなことしている時間があるなら、仕事をしろと言いましたよ」

その後も彼は挫けることなく、ありとあらゆるルールに対し提案を繰り返した。その度に康はそれを突き返した。

「ただの反抗期のようなものだと僕は勘違いをしていたんです。ルールも守れない、どうしようもない奴だと彼を完全に見下していました。しかし、蓋を開けてみれば、何もわかっていなかったのは僕の方だったんです」

彼は一体何をわかっていなかったのか? 後編に続く。

Text:悠木律

▶︎【後編はこちら】「俺って古い人間なのか?」昭和の管理職オジサンが見た地獄。


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