年収910万円で色分けされる「ママたちの身分」
東京都がついに高校授業料の実質無償化において、来年度から所得制限を撤廃すると発表した。これは子育て世代にとっては大きなニュースである。
「これまで年収910万円未満の世帯に対して、都立では国の支援で無償化、私立では都が国の支援に上乗せする形で私立の平均授業料に当たる47万円を上限に助成を行ってきました。この所得制限がなくなり、すべての高校生がいる家庭が助成の対象となる方向です」。
スピード感を持って子育て世帯を全力でサポートするとは小池知事の言葉だ。
「おそらく来年の都知事選を見込んでの政策でしょう。もちろん反対の声もあるはずです。例えば、私立高校にはそれなりのステイタスや質というものが存在しますが、すべての人が無償化となれば、その篩はなくなります。さらに莫大な税金が私立高校に流れることは明らかです」。
確かに両手放しで喜べる話ではないのかもしれない。実はこの910万円というキーワードは、ママ友界隈でもよく話題になるらしい。今回は、この910万円を振りかざし、マウントを取ってくる痛いママ友の話をお届けしよう。
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佐々木律子さん(仮名・43歳)は、長女の通う区立中学校のPTAで会計係を務めている。
「やりたくてというよりは、お誘いを受けて仕方なく。我が家は夫が単身赴任をしているので、今は私と長男、長女と3人で都内に暮らしています。長男は都立高校の1年生、長女は区立中学2年生です」。
律子さんが話すのは、PTAで一緒に活動をしているママ友の話だ。
「とにかく、なんていうかイタいんです…」。
そのママ友Aさんとは、知り合って長いという。
「彼女は男の子のママなのでべったり仲良しという感じではありませんが、家が近くて会えば間柄です。うちのまわりは、一区画にいくつか戸建てがあるんですが、Aさんの家と私の家はその端と端に当たります。引っ越しの時期も同じくらいで、子供の年も近いので自然に話をするようになったんですが、あまりにもイタいんで今は仲良くみられたくないと思うくらい…」。
そもそもそのママ友は、かなり個性的。
「おしゃれに気を遣っているのは、素敵だなと思います。でも、どこで買ったんだろう…?と思われる短いスカートなんかでPTAの会合に現れると思わず、目を伏せちゃいますよ。これ見よがしにブランド品のバッグを持って、自慢してくる感じも…。いまどき、こんな人いる?っていうふうに思ってしまいます。私にも偏見があるんだろうけど」。
そう微笑む律子さんもシンプルなデニムにニットという組み合わせでありながら、どこかに品が漂う。
「夫は年収1000万円くらいです。私は今はスーパーでパートをしていますが、証券会社勤めだった父の勧めもあり、比較的早い頃から投資をしてきました。だから、実はお金がそこそこあるんです。ブランドものとかにはまるで興味がないので、せっせと貯めて早くFIREしたい。50歳を目処に考えています」。
律子さんはこの話をママ友の誰にもしていないと話す。