「私はゲームをしたことがないんです。子供の頃はスポーツを習っていて忙しくしていたこともあり、欲しいと思ったことがないだけなのですが、それもあって自分の子供がそこまでゲームに心酔する理由がわからず戸惑っています」
息子がゲームを始めた小学2年の頃、宿題と明日の準備をしてからゲームをやるというルールを決めたという。
「息子はそのルールを一応守りはしましたが、守ってりゃいいんだろと言わんばかりに、宿題と準備を済ませたら際限なくゲームをやるようになったんです。なので途中から慌てて平日1日1時間、土日は2時間とルールを付け足したんですね」
ところが、息子がそのルールを守ったのは最初だけだった。
「平日は学童で宿題を済ませて帰ってくるので、家ではとにかくゲームです。やっと一呼吸ついたかと思いきや、今度はYouTube三昧。『目がもっと悪くなるわよ』と声をかけるとイライラしながらその場を立ち、リビングの窓からほんの少しの間遠くを見て『目の休憩終わり』と告げてまた現場復帰です」
ルールを守ってるのに何でいけない?という反発や、友達との話についていけないという弁解にうまく対応できないさつきさん。「そんな友達なら要らないんじゃない?」と口にしたこともあるが、もし本当にそうなったら?と思うと強く出られないのだとか。
「友達さえいればお母さんは甘くなる、と見透かされてしまってからは、週末も友達をよくうちに呼んでゲームをやってます」
ゲームに費やす時間も問題なら、ゲームの質が問題となったこともあるという。あるゲームが子供間のいじめのきっかけとなり、学校を巻き込んで保護者会が開かれるほどの問題に発展したこともあったのだそうだ。
「チームを組んでやると上手い下手に差が出て下手な子が責められたり、言葉が凄く乱暴になったり、あと勝ちたいあまり課金したがる子が出てきたりとかで、そのゲームについては他の親御さんも困っていました。学校はそのゲームをできるだけさせない方向にはできないかと言ってきたが、保護者間で意見が割れて結論は出ずじまいでした」
ゲームに関する問題に常に悩まされてきた麻美子さんは、夫に対して何度となくこのことを相談してきた。しかし、夫は自らも子供の頃からゲームを趣味としており、まともな相談相手にはならない。
取材/文:中小林亜紀
☆【後編はこちら】息子だけでなく自身のゲーム依存を正当化したい幼稚すぎる夫との闘いまで……麻美子さんの悩みは尽きない—☆