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認知症気味の義母を、わざと外出させている?50代妻の積年の恨みを知った「おめでたい夫の末路」

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不倫や浮気、DVにプチ風俗……。妻として、母として、ひとりの女性として社会生活を営み、穏やかに微笑んでいる彼女たちが密かに抱えている秘密とは? 夫やパートナーはもちろん、ごく近しい知人のみしか知らない、女たちの「裏の顔」をリサーチ。ほら、いまあなたの隣にいる女性も、もしかしたら……。

内閣府がある研究データに基づいて発表した将来推計によれば、2025年には日本の65歳以上の高齢者の約5人に1人は認知症になっているおそれがあるという。

©️Getty Images

現状の数値は定かでないが、推計通りの水準となりつつあることは十分考えられる。認知症患者を自宅介護することで家族が心身を追い詰められて、施設利用の選択を迫られている家庭も少なくないと思われる。その苦労は想像に難くない。

(内閣府 平成29年度版高齢社会白書)

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今回お話を聞かせてくれたのは50代の会社員・篠塚雪彦さん(仮名)。80代半ばとなった実母の認知症が徐々に進行し不安な日々を送ってきたが、現在母は施設に入っているという。

「うちの母はまだ自分でできることも結構ある方なんです。暴言を吐くとかもないですし。でも、やたらトイレに行ったり風呂を頑なに嫌がったり、勝手に散歩に行ったりして戸惑いましたね。週2でデイサービスも利用してきましたけど、やはり自宅で見るのは大変でした」

しかし、雪彦さんの悩みの対象は老母のことだけに留まらなかった。

「母の認知症を通じて妻の本心を初めて知ったのですが、それがかなり強烈だったんです。妻は姑ながら母をよく面倒見てくれるなあと感心していたのですが、事実は逆だったようで...」

雪彦さんは妻の本心を知る少し前に、社会人1年目の娘からとある相談を受けていた。まさかそれが娘から送られた信号だとは思いもしなかったそうだ。

相談内容は、認知症が進みつつある老母がしばしば行う”散歩”についてだった。世間では母の散歩を「徘徊」と呼ぶ。

「お母さんはおばあちゃんを敢えて1人で徘徊させているんじゃないか、と娘は言うんです。まさかそんなことあるわけないだろうと私もつい怒ってしまったんですが、実はちょっと変だと思うことが私の中にもあり、そこから疑心暗鬼になりました」

ある日会社から戻った娘は、妻が何か言葉をかけながら、外の暗がりへ母を送り出すところを見たという。その時は娘が外から回って祖母を何とか連れ戻したという話だ。

「妻は以前から『外出には必ず同行するようにしているが、知らない間に勝手に出て行ってしまうこともあって大変なの』と言っていました。私はそれを信じていました」

母の部屋のドア・玄関・お勝手口にはベルをつけてあるのだが、「聞こえないこともある」というのが妻の説明。

「娘が含みのある言い方をしたのが気になりましたが、まさか妻が危険を承知で、敢えて母を1人で外に出すなんて、その時はやはり信じられませんでした」

妻と姑の仲はどうなのだろう。

「私の母に対して腹に一物あるなんて聞いたこともないですし、認知症の症状が出るようになってからは同居も大変でしたが、文句を言わずに頑張ってくれてました。昔から母とは仲良くしてましたよ」

娘の話を聞いた雪彦さんの脳裏には、少し前に「お袋の部屋に外から鍵を取り付けるか」と相談した時、妻から強く反対されたことが思い出された。その提案をしたのは2か月ほど前、母が初めて近所の商店街で迷子になった時のことだ。

「誰かしら知っている人が見つかるような下町の商店街なので、困っていた母を町内の方が家まで送り届けてくれました。でも、母はついに帰宅ルートがわからなくなったわけで、これはまずいと思い、やはり部屋に外から鍵をつけるべきだと妻に提案しました」

雪彦さんの提案に対し、私が同行するから鍵だけはやめてくれという妻。

「妻はごもっともなことを言うんです。自転車を取り上げられて、ついには自分の部屋から自由に出られなくなるなんて、お義母さんがかわいそうじゃないの、と」

雪彦さんは妻の言い分を正論だと思ったが、万が一行方不明になったり事故に遭ったりしたら、他人様を巻き込んで大事になってしまう。

また、今はまだ夜中の徘徊はないが、今後昼夜逆転する恐れもある。そのリスクと引き換えにしてでも、認知症の母に常の自由を与えるべきなのかどうか悩んだ。

「妻は、私がよく見ているようにするから鍵だけはやめてと言いました。それで鍵のことはうやむやになったんです」

しかし、改めて思い返すと、本当に妻が母をよく監視していたのか、外出に同行していたのかどうかは確認していない。母に尋ねるとにこにこしながら頷くだけで、真相は藪の中だった。

だが、問題をうやむやにしておいてはいけないと雪彦さんに思わせる、決定的な出来事が起きた。

取材/文 中小林亜紀

▶︎後編に続く


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