小岩井和美さん(仮名・48歳)は、午前中は高齢者でいっぱいの区民体育館で働いている。体操クラスに通う面々を仕切っている初江さん、男性と仲良くおしゃべりしている高子さんは犬猿の仲。そんなある日、教室後のロビーで事件が起こる。ロビーを占領していた初江さんに高子さんが場所をあけるよう迫ったというのが【前編】のお話。【後編】では、さらに加熱するバトルについて話を聞いていきたい。
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高子さんが初江さんに注意をしたのは、そこで困っているお母さんがいたからだ。
「ベビー体操のクラスも同じ時間に行われていたんです。その日は雨でお母さん達はレインカバーをかけたり、帰りの準備をロビーの端っこでしていたんです。私も初江さんたちにひとこと声をかけようと思ったんですが、高子さんが先に」。
その場での振る舞いは、高子さんの方が正しいように和美さんには思えた。
「別に初江さん達にどけと言っているわけじゃないんです。少し、気を遣って欲しいというか…。ほんの1/3の場所を譲ってもらえれば、お母さん達はもう少し、ゆったりと準備ができるそんな感じだったんです」。
なんとも微妙な雰囲気になったことで、気を遣ってしまったのは赤ちゃん連れのお母さん達の方だった。この姿を見て和美さんは、なんとも悲しい気持ちになったという。
「初江さんだって子育て経験があるはずなのに、こういうときどうして優しくできないのかな?って。赤ちゃん連れのお母さん達は、準備も辛々、急いでその場を離れていきました。すると初江さん達は何事もなかったようにまたロビーでおしゃべりを始めたんです」。
もちろん話題は高子さんに対する悪口、そしてあろうことか赤ちゃん連れのお母さん達に対しても文句を言い出したのだ。
「最近のお母さんは礼儀がないとか、体操とかなんとかいって遊んでばかりだとか。ちょっと聞き捨てならないなと思っていましたが、私は体育館の職員でもありますから、文句を言うわけにも行かず…」。
初江さん達の悪口はどんどんエスカレートした。