【後編】「婚約者の本性は最低カスタマーハラスメント野郎だった……」しかし女が破談できない「現実的すぎるワケ」とは

丁寧に質問するならまだいいんですけど、言い方が何ともエラそうで。ちょっと待ってこんな人だっけ？ってなっちゃって」

結局彼はその女性店員の謝罪の仕方が気に入らず、店長を引っ張り出してしまった。女性店員が泣いてしまったのがつらくて、さゆりさんはなんとも気まずかったと振り返る。

「『謝る前にいいわけとかさせてていいの？ あの子によく言っときなよ、店長さん。ったく、サービス業者の風上にも置けねーよ。これはSNS行き案件だな』とか、そんな感じで言うんです。私も含めて場が凍りつきましたね。

『もういいじゃない』と私が諭したんですが『いい？……ちっともよくないねえ。まず謝るじゃん、普通』と低い声でキレられました。絡まれるのもいやで、ずっとそっぽ向いてるしかなくて」

後になってさゆりさんが「どうしてあのくらいのことでキレるの？」と聞くと、彼は「キレる」という言葉に敏感に反応したという。

「俺ってキレた？ あんなのキレたうちに入るか？ サービス業っていうのは客を満足させて初めて成立するんだろう」と言い返し、苛立ちを隠さなかった。

「ファストフードでは他にもカスハラまがいのエピソードがいくつかありますが、テイクアウトして袋を開けたら手を拭く紙ナフキンが入ってなかったというだけで、それをマンションまで持ってこさせたこともあるんですよ」