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「いまの文化祭は、単なるインスタ撮影会…」現役教師が絶句「映えに支配された学び舎」の想像を超えた実態

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「模擬店は、社会や家庭科の延長線上で、販売活動を体験するというしっかりとした意義があるので、実は『文化祭』というものの定義からは大きく外れていないのですよ」

そう話すのは、祐介さん(仮名・50歳)。高校で社会科を教える彼には、こだわりがある。

「ただ、『映(ば)える場所』を提供するのは文化なのかどうかって話ですよね。学校では、写真に撮って見栄えがいいかどうかみたいなことは教えていないのですから。そもそも『映え』に価値を見いだしていることはよいことなのか……」

祐介さんは、話すというよりはぼやいているように見える。

「私は、時代の変化という物を感じ取ることができて、とてもおもしろいと思っています。

かき氷一つを売るにしても、売る商品をどうかわいく見せるかだけではなく、店舗となる教室内をどうかわいく装飾するかということにまで頭を使って工夫しているので、素直に『すごいなー』と思っています」

そう話すのは、高校で英語を教える英美里(仮名・38歳)さん。彼女は、高校生たちのこだわり方やこだわりを実現する方法に感心しているそうだ。

「私が担任しているクラスの生徒たちは、主に女子が頑張って、『ゆめかわいいかき氷屋さん』を出店しました。

『ゆめかわいい』のタイトル通り、店舗となる教室内には、ピンクのハート型の風船がたくさん浮かべられ、段ボールや布で作ったユニコーンが飾られていました。黒板には、多くの人がインスタグラムなどに写真を載せる『羽』の絵をチョークで描いていましたよ。」

『ゆめかわいい』というのは、『夢みたいにかわいい』という言葉が短くなったもので、基本的に色は全てパステル、ぼんやりともやがかかっているような状態を指している。高校生たちは様々な工夫を重ねて、その世界観を完成させたのだという。

「すべて自分たちで思いついているのかといえば、それは違うようです。日本全国の高校生同士でアイディアを共有しあうような動きが、SNS上にあるみたいですよ」

しかし、英美里さんは、話しているうちに苦笑いが混じるようになる。

SNS特有のトラブルが学校を激震させることが頻発しているというのだ……。

後編では、イマドキ文化祭のデメリットについて、さらに詳しくレポートする。

取材/文 八幡 那由多

▶︎後編に続く


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