男女ともに「個人を尊重した、自由な生き方」が叫ばれる昨今、出会いの場にも多様性が浸透している。その勢いを駆っているのかはわからないが、いま盛り上がっているのが既婚者合コンだ。
配偶者やパートナーを持つ一方で、仕事や家庭とは別の交友関係を作り、気が合えばさらにその先も……という男女が少なくないのだ。
今回、取材に応じてくれたのは不動産会社に勤めるヒロキさん(仮名・43歳)。
学生時代はキックボクシングをやっていたという彼は、スーツごしでも、がっちりとした体躯が見て取れる。
日に焼けた笑顔が野性味と人懐っこさを感じさせる、イケオジだ。
ヒロキさんの取材は、元CAの作家として活動する筆者の著作、「人妻合コン・不倫の夜」にも反映させてもらった。
禁断の既婚者合コンの実態を通して、現代の恋愛事情を考えてみたい。
まずは、ヒロキさんが既婚者合コンに参加した経緯から。
「会社の同期・マサト(仮名・43歳)から誘われたことです。
以前、彼と呑みに行った際、酒の勢いでつい愚痴を言ってしまったんですね。
『子供が生まれて以来、もう妻に女を感じなくなった。家族は大切だが、自分をオスとして奮い立たせてくれる女性の存在が欲しい』って。
家庭を守ってくれる妻には感謝していますが、刺激もときめきもない日常に潤いが欲しかったのは事実です。
『家族になる』って、ある意味残酷ですね。出会った頃のドキドキ感やオスとしての本能を削がれるというか……で、思いきって既婚者合コンに参加しました。
僕が参加したのは「D」という会社の既婚者合コンです。
合コン会場は銀座や渋谷、新宿、六本木、横浜、千葉など、様々なエリアがありますが、既婚者合コン常連のマサトいわく『自宅と会社から遠いエリアがベスト』だそうです。
家や会社の近隣だと、たまに『会社関係の人と遭遇』『ママ友やパパ友と遭遇』なんてシャレにならないハプニングもあるそうで、僕らは自宅と会社から遠い横浜エリアでの合コンを選びました。
既婚者合コンは細分化されていて、
『20代の若者限定』
『30~45歳の男女の出会い』
『50代以上のミドル層限定』
『男性は年収2000万円以上でプラチナカード保持者』
など、様々なものがありましたね。
僕らの場合、無難に『40代の男女の出会い』に参加しました。
参加費は男性5000円、女性4000円です。会場は、横浜駅から近いカジュアルなイタリアンレストラン。マサトと2人で会場に入ると、すでに来ていた男女の目がいっせいに僕らに突き刺さりました。男性10名、女性10名のこぢんまりした集まりですが、『ああ、値踏みされてる』と思いましたね(笑)」
気になる参加者はどのようなタイプが多いのだろうか。
「男性は、いかにもパーティ慣れしているような粋にスーツを着こなした洒落た人もいれば、もっさりしてモテとは縁遠い人と二分化していました。
女性のタイプはバラバラでしょうか。品のいい清楚系もいれば、スタイル抜群の美魔女系、化粧っ気がなくて服装もダークな色の地味系、ショートカットが似合うヘルシー系。
僕が気に入ったのは、白いワンピースが似合う清楚系の奥さま。合コン慣れしているマサトは、美魔女系が気に入ったようです。
パーティが始まる前から、ターゲットを絞っているのは僕らだけじゃなかったはずです。
既婚者だけにガツガツした様子はあからさまに見せませんが、おそらく、各々が好みのタイプを品定めしていたでしょうね」
既婚者合コンは、どのように進行するのかも気になるところだ。