美里さんは八重山諸島出身。コバルトブルーの海に囲まれ、貴重な生き物が住み自然が多く残っている島で育った。
高校卒業後、専門学校や大学へ進学を希望するなら沖縄本島か県外へ出るかの2択だ。
沖縄本島には寮を完備した企業が少なく、実質負担が少ない県外企業への就職を視野に入れる若者が多い傾向にある。
島から出て沖縄の大学へ進学した彼女。大学4年間は課外活動やレポート、アルバイトに勤しんでいたようだ。
入学当時から一人暮らしをしており、学生の間は親が家賃を払っていたが、車の維持費や携帯代は自分で負担していたので常にバイト漬けの生活だったよう。
大学3年生になって就活に力を入れた結果、沖縄県の就職人気ランキング上位の企業へ入社することができた。
しかし新卒当時の基本給は17万円、交通費と10時間の残業を合わせても総支給は18万5,000円程度で、そこから税金や社会保険料を引くと手取り額は15万円に満たない。
社会人になると家賃や生活費、諸々の支出は自分で払うことになり、学生の頃のような生活はできない。手取りの給料から固定費を引くと、自由に使えるお金はほとんど残らなかった。
美里さんによると、1か月の支出は以下の通りになっている。
1Kの家賃:50,000円
水道光熱費:10,000円
駐車場代:5,000円
車のガソリン代:10,000円
車保険料:5,000円
奨学金:16,000円
医療保険:8,000円
携帯代:4,000円
脱毛代:6,500円
食費:15,000円
日用品・コスメ代:7,000円
給料が入って固定費が口座から引かれると、残るお金は約1万円だ。
結婚式などの冠婚葬祭があると月々の収支はドンと赤字になり、足りない分はボーナスから補填していた。どうしてもキツい月は、両親へ連絡し2万円程度の援助を受けているようだ。
そのような生活に追い打ちをかけるように、安定していたボーナスもコロナの影響で5万円程ほどカットされたよう。迫る車検も頭が痛い。
「『あ、もう私はパンクしているんだ』そう思いました。特に贅沢しているつもりは、まったくないんですけどね。だから収入を増やすしか、生きていく道はなかったんです」
☆後編に続く☆
取材・文 錦城和佳