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注目されるTwitterの新機能「コミュニティノート」がアツい!

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

さて、Twitterの新機能「コミュニティノート」が激アツです、荒れてます、盛り上がっております。

コミュニティノートとは、誤解を招きそうなツイートに対し、「有志の登録ボランティア」が情報を追記できるという機能。例えば福島第一原発の処理水放出に関連して「トリチウムは人間が作る人工的な元素であり、自然界には存在しない!!」なんていう投稿をすると、

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<背景情報を追加しました>

「トリチウムは、宇宙から地球へ降り注ぐ宇宙線と呼ばれる放射線と、地球上の大気がまじわることで、自然に発生します」

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こんな感じで淡々と情報を追記されちゃう、とっても無慈悲な機能です。

情報の偏りやフェイク拡散を抑制する狙いがあるようで、まあ、自分が信じたいデマに浸っていた人に、いきなりバケツで冷水をぶっかけるような機能ですからね、やられた当人は怒り狂うのですが……ただ、こういった投稿がフェイクニュースの温床となり、風評被害を生み、その対策で無駄な税金が投入されているのも事実なのです。

この無慈悲な新機能、登録ボランティア内で一定の評価を得られた場合にのみ公開される仕組みで、それを管理するシステムのロジックも一般に開示されています。コミュニティノートが追記された後も「やられた側」が異議申し立てをすることが可能。実際、異議申し立てによって審議された結果、表示済のコミュニティノートが非表示となったケースもあるようですが、多くの場合、「やられた側」は指摘された誤りには触れず、

「コミュニティノートの仕組みが問題だ」「実名でやれ!」

といった、ちょっとかみ合わない反論になっているのが微笑ましいです。これまで異論をブロックし、エコーチェンバーの世界を生きてきた人達にとっては、その「結界」が崩れ異教徒が押し寄せてきた、ように見えるのかもしれません。

現状、コミュニティノートはニュースや広告にも容赦なく投下されており、メディアによる事実誤認や広告主の景表法違反が指摘されるケースも起きています。なんか凄い。

コミュニティノートは「正解」ではない

この機能、数年前にアメリカ国内でリリースされ、日本では今年の7月からスタートしたらしいのですが、私、個人的に、Twitter社ってこういう取り組みにあまり熱心ではない(Twitterはバランスの取れた素敵な空間だと思われたい、でも実際のバランスは自分たちのさじ加減で決めます的な)企業だと思っていたので、本機能がリリースされたこと自体が凄く意外でした。

取り組みとして非常に興味深いし、現時点ではフェイクや事実誤認が「結果的に」修正されるケースが、そうじゃないケースよりも圧倒的に多く見えるので、上手く機能すればフィルターバブルやエコーチェンバーの問題を解決する糸口になるかも、と感じています。そこでカギとなるのは、私たちとコミュニティノートの距離感です。

コミュニティノートは真実を示す正解ではない。あくまでバランスの取れた両論併記の片割れに過ぎない。ノートが追記されているからと言って元のツイートが誤りとは限らない。これを忘れないことが重要です。どちらの情報がより正確なのか調べる、或いはその判断を保留するのは私たちの役目。

私たちがこの距離感を維持できれば、Twitterが殴り合いのリングから、まともな言論空間に変化するかも、そんな期待すら抱いています。

ちなみにこの記事を書いている最中に、Twitterは「X」に変わり、ブラウザ版から青い鳥が消えてしまいました。ちなみに「Twitter Japan 株式会社」の社名ってどうなるんでしょうか? まさか……。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。

 



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