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おじさんなら憶えている!トヨタのWiLLシリーズとは何だったのか?

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■新たなマーケティング手法を開発するための異業種合同プロジェクト

冒頭で触れたように、WiLLシリーズは、トヨタが独自で開発したモデルではなく、アサヒビール、花王、近畿日本ツーリスト、松下電器産業(現パナソニック)という日本の名だたる企業とトヨタによって始まった、異業種合同プロジェクト「WiLL」によるもの。プロジェクト発足時である1999年当時は、従来の世代とは明らかに異なる価値観と消費行動をとる人たち(ニュージェネレーション層とよばれていた)が増えてきた時代で、従来のマーケティング手法ではなかなか捉えきれず、この層でのヒット商品が生まれにくい状況にあったようです。

そこで、ニュージェネレーション層にヒットする新たなマーケティング手法を共同で開発していこう、と始まったのが、本プロジェクトでした。

WiLLシリーズ第二弾の「WiLL VS」。スポーティな外観の5ドアハッチバックモデルだ

このWiLLプロジェクトの商品で共通していたのは、四角いオレンジ色のロゴマーク(下部に「WiLL」と書かれている)と、「遊びゴコロと本物感」というキャッチフレーズのみで、商品の企画や宣伝は各企業が独自に行っていました。そのため、従来にはない画期的なデザインの商品が多数世に送り出される一方で、はっきりとしたブランドイメージがない「なんとなくの手探り感」が漂う商品が多かったのも事実です。異業種同士が参画しているプロジェクトのため、「結局なんだったんだろう」と感じた人も多かったようでした。

 

■実用面が犠牲になってはいたが、大きく冒険したデザインは魅力的だった

トヨタがこのWiLLプロジェクトでリリースしたモデルの第一弾は、2000年1月に発売された「WiLL Vi(ウィル ヴイアイ)」です。デザイン面で一番のハイライトは、馬車を連想させる「クリフカットシルエット」のサイドビュー。奇抜なデザインと、フロントの柔らかで愛らしいデザインの融合が印象的なモデルでした。ただデザインを優先させた結果、後方視界が狭くなってしまったり、後席の頭上空間が小さく快適性が損なわれたり、トランクルームが狭くなったりと、実用面が犠牲になっていました。

第二弾は2001年4月に発売された「WiLL VS(ウィル ヴイエス)」という5ドアハッチバックです。やや低めのスタイリッシュなフォルムに、シャープでソリッドなシルエットがスポーティな雰囲気を醸し出していました。インテリアデザインは、航空機をモチーフにしたもので、メーターのカラーリングや数字の配置、ステアリングのセンターパッドの形状、スラストレバーのようなシフトグリップなど、遊び心が満載。筆者個人的には、かなり魅力的に感じたインテリアでした。

2002年10月に発売された「WiLL CYPHA」。通信モジュール搭載で先進的なインフォテインメント機能を楽しめた

第三弾は2002年10月に発売された「WiLL CYPHA(サイファ)」。大胆な立体構成と縦1列の4連ヘッドランプで未来感を感じさせながらも、柔らかい曲線でパイクカーのような雰囲気のデザインが採用されています。「G-BOOK」という車載通信モジュールを搭載したほか、ライブナビゲーションやネットワークを利用したインフォメーションや、カラオケなどのエンターテインメント機能、メールの送受信、万が一のトラブルの際に救助車両手配が行えるオンラインサービスなど、当時としては先進的な機能が用意されていたのが特徴的でした。



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