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伝説となった!初代セルシオはどこが凄かったのか

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■トヨタが北米で生き残るために開発

日本では「セルシオ」としてデビューしましたが、北米では、レクサス「LS400」として、日本でセルシオがデビューする2ヶ月前である、1989年8月にデビューしました。

レクサスの研究をするサークルF

レクサスのフラッグシップモデル開発のきっかけは、80年代中頃に起きた日米の貿易摩擦があるようです。要は「安くて壊れなくて燃費のいい日本車」というだけでは、北米で生き残れないと踏んだトヨタが、利益率の高い高級車を開発して市場に参入しようという考えたことがひとつのきっかけでした。

初代レクサスLS400のインテリア。驚くほど精緻な作りと上質さに包まれている

しかし、北米で人気の高級車といえば、すでにメルセデスやBMW、GMなど歴史あるメーカーが市場を握っている状態。そこに「安い小型車」イメージのあるトヨタがいきなり参入しても難しいのは明らかであることから、トヨタは、欧州の高級車に匹敵する性能と安全性、そして日本車ならではの信頼性と経済性を象徴する高級ブランド「レクサス」を立ち上げたのです。そしてそのフラッグシップモデルとして開発されたのがLS、つまり日本のセルシオです。

 

■セルシオは「発明品」レベルの性能だった

レクサスLSモデルの開発チームは、欧米の高級車に勝つため、当時の高級車として世界最高レベルの技術目標を設定。最高速度は250km/h、燃費は22.5mpg(マイル・パー・ガロン、メートル法だと約9.56km/L)、空気抵抗値0.28、100km/h走行時の騒音58〜59デシベルというもので、この目標はチームのメンバーでさえも驚愕するようなものだったそう。

北米では40脚のシャンパンタワーをLSのボンネットの上に積み上げ、ベンチローラー上で240km/h出しても崩れないというCMが話題となった

この目標を達成するため、開発チームは、クラウンやセンチュリーをベースにブラッシュアップするというのではなく、開発のすべてを原点からスタートさせる方法をとります。特に振動・騒音については徹底した「源流対策」を実施。「源流対策」とは、たとえば騒音の分野で吸音材などの事後処理に頼るのではなく、タイヤ構造やサスペンションに組み込まれているブッシュ、取付点の車体剛性、エンジンマウント(振動が伝播してノイズが発生する)など、その騒音の元となる部品を厳しく追及し、その部品の設計や組み付け精度を見直すことなどによって、根本から排除するという考え方です。

もちろん騒音の分野だけでなく、振動、走行性能、ハンドリング、乗り心地などあらゆる分野において源流対策が実施され、細部まで入念な工作と仕上げがなされました。あまりにも高い基準を達成するため、計測器や工作機械も新たに製作したそう。この一切の妥協のない開発には、延べ1400人のエンジニアが携わり、450ものプロトタイプがつくられ、およそ2700万マイル(およそ地球100周分)を超える走行テストが敢行されたといいます。

チーフエンジニアの鈴木一郎氏とレクサスマークのLS

こうして、とてつもない目標が達成されて完成した初代LSは、その優れた静粛性とあまりにも高い品質で、デビューするやいなや、北米で大ヒットを記録。欧米の競合メーカーはこぞってLSを買い、バラバラにして徹底的に研究したそうです。世界が求める高級車の品質は初代LSによって一気に底上げされ、世界に名だたる歴史あるメーカーもその品質に追従するようになったといわれています。

まさか新参者のトヨタ(レクサス)が、当時の高級車市場でいきなり存在感を示すなど、ライバル達は誰も予想していなかったことでしょう。高級車の概念を覆すほどのクオリティはまさに発明品レベルの逸品だったというわけです。



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