しかしこれまで、このような知らせを受け取ったことは無かったし、金銭的に余裕がない素振りを見せられたことも無い。
「ただいま~」という声とともに、次男がキッチンを覗きにきたのでとっさにハガキを隠す。
夫が帰ってきたら確認してみよう……。そう思い、あかねは夕飯作りを始めた。
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夫の裕太は毎日帰宅が遅く、この日も22時すぎにやっと帰ってきた。
あかねが「おつかれさまです」と迎えると、やや不機嫌そうな面持ちで「うん」とだけ返答する。
「夕飯は食べる?」
「うーん。今日はいい。風呂入って寝る」
亭主関白なうえにあまり愛想もない裕太は、そっけない返答をすることが多い。
あかねと裕太は友人の紹介で知り合い恋愛結婚をしたのだが、結婚当初からあまり夫婦の会話は多いほうではなかった。
あかねは、裕太が自分にまったく興味がないのではないか?と常々思っていた。子どもが生まれてから、夜の夫婦生活も年に数回というレベルだ。
「ごめん、ちょっと待って。あのね、今日これが届いたんだけど……」と、電気会社からのハガキを裕太に差し出す。書かれている内容を見た裕太は、驚いた表情をした。
「あー。引き落としの口座に移すの忘れてたわ」
明日やっとくから、と言って、ろくに目もあわせずに風呂場へ行ってしまう。あきらかに様子がおかしかった。
夫から知らされた衝撃の事実、そして危機に陥った家族は?次回に続きます。
Text:女の事件簿調査チーム
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