周りからの評価を気にするケンジは、身近な人間には「良い人」であることを貫いていたが、心の中では、いつでも誰かれ構わず見下していた。
外出先では歩く人や店のスタッフを、テレビを観ている時はタレントを、食事中は自分の同僚を、そしてとうとうミホやその家族まで見下すようになった。
「ミホは取柄もないのにこんな生活ができて幸せだね」
「お義父さんレベルの年収だと、家族は幸せにできないよ」
全てのオチは「俺は素晴らしい」に繋がるように会話は組み立てられていた。
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