「漠然と結婚して、数年したら子どもができて……そんな風に思っていたので、できないことにまず、とても傷つきました。みんなの当たり前が私にはないんだって」。
できないことを受け入れるのに時間がとてもかかったという。
「夫とは、子どもはいなくてもいいと話してきました。でも実際、周りに子どもができはじめて、その姿を見るとやっぱりいいなという気持ちが芽生えてきて、不妊治療をしてみることにしたんです」。
瞳は治療を始めれば、すぐに子どもができると考えていたという。
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「実際はそんなに甘いものではありませんでした。精神的にも肉体的にも結構つらくて……。それでも子どもができれば頑張れたと思うのですが、なかなかできず、先が見えない戦いにすっかり落ち込んでしまっていたんです」
そんな中でも義理の妹の妊娠、出産だったのだ。
「正直、すごく羨ましかった。なんの苦労もなく、子どもができて……。もちろんわかっているんです。苦労がないってわけじゃないって。でも治療をしてもできない私と治療をしてないのにできる義理の妹、一体何が違うんだろうって……」。
そして、今年の帰省で瞳はさらに傷つくことになる。
「義理の妹がまた妊娠したんです。1歳になったばかりの甥っ子は、3ヶ月後にはお兄ちゃんになるそうです」。
お正月の食卓の会話はすべて甥っ子が中心。みなが彼をちやほやし、義理の妹を労った。
「居心地は悪かったですね。でもそれは私の問題です。子どもにも義理の妹にも罪はありません。ですから、ぐっと堪えていつも通り、いい嫁を演じていたんですが……」。
姑のある一言で、突然瞳に話題がうつったという。
「『瞳さん子どもはいつできるの?』『あなたたちはまだなの?』って。多分、私顔が凍りついていたと思います。義理の妹と舅が必死にフォローを入れていましたが、明らかに場の空気が張り詰めた感じでした」。
男女関係のトラブルに詳しい、危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏が語る。
「ハラスメントという概念すら持たない年配の人たちは、たしかに一定数存在します。マタハラという言葉は一般的ですが、未だに地方には『子供ができないのは、先祖供養が足りないから』と信じ込んでいる人もいる。一度傷つけられた心は簡単には戻らない」
次回では、さらに豹変して瞳を責めぬく姑のさらなる仕打ちと、瞳の反撃を詳細にレポートしていきたい。