ミキは中学校までは共学だったが、高校は女子高。短大もほとんどの生徒が女性だった。
「お嬢様でもないのに世間知らずっていう、最悪のパターン」だとミキ本人は言う。
夫とは、保育士仲間の紹介で出会った。
「最初のころはうまくいっていたんです。『保育士って素晴らしい仕事だと思う』って、保育士の仕事を認めてくれていましたしね。私は夫しか男性を知らないので、流れで交際し、流れで結婚してしまったんです」
それが大きな間違いでした、とミキは相変わらず暗い表情で言う。
「夫は営業職なんですが、特別成績がいいわけでもありません。とくに、ここ数年はコロナの影響で、収入が激減しました。なのに、私には仕事を辞めて、専業主婦になれってうるさいんですよ。『妻が保育士なんて、世間体が悪いだろう』とまで言われました。彼の思考回路はよくわかりませんが、完全なモラハラだと思う。私にとっては、保育士は自分の人生そのもの。簡単に辞められるものじゃありません。そもそも、私の給料がないとやりくりしていけないのに……」
夫に対する不満が爆発しそうな中、中途採用で園に入ってきた保育士のヨウスケ(仮名)と出会った。
「ヨウスケはもともと違う職業だったそうですが、保育士になりたいという昔からの夢が捨てられず、フリーターに。働きながらスクールに通って保育士になったそうなんです。それだけでもすごく素敵だな、と思いました」
実際、ヨウスケは子どもからの人気が高く、保護者からも評判は上々だったという。
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「私たち保育士からも、ヨウスケは好かれていました。なにせ、保育士はまだまだ女性社会。ヨウスケは30代前半だったんですが、それよりも年上の女性保育士が多いですからね。年下の男性が頑張っている、というだけで好かれるんです。ヨウスケは仕事熱心でしたから、なおさらでした」
園児の母親たちにも、ヨウスケは頻繁に連絡先を聞かれていたそうだ。
「『ミキさん、どうしたらいいんですかね?』って困っているヨウスケに対し、『よかったら、私が相談に乗るよ』と思わず言ってしまいました。ヨウスケは喜んでOKしてくれて、ご飯を食べに行くことになったんです。私は、夫以外の男性とサシ飲みするなんて初めてのことだったから、それだけでドキドキしてしまいました……。結局、サシ飲みのあとは、ヨウスケに押されて流されるままホテルで関係を持ってしまったんです」
そこからはもう、泥沼一直線だったという。男女の不倫トラブルに精通した平塚俊樹氏が言う。
「パパ活女子だけではなく、普通の職業に従事する女性も驚くほど不倫へのハードルが低いケースがあります。話を聞くと、一様に家庭がうまくいっていないという。しかし具体的な話を聞くと、『なぜその程度のことで...』と首を傾げてしまうことも多いんです」
園内不倫に陥ったミキさんを待ち受けていた帰結について、次回ではさらに詳報する。
ライター 八反久美