程なく帰宅した夫、麻由、娘、女……。完全にリビングは修羅場である。しかし、ドラマのような罵り合いにはならなかった。事情を話す夫、それにうなずく彼女。淡々とした時間が流れていたという。
「夫も妊娠は告げられていなかったようでした。ただできれば夫と結婚したいとぬけぬけと話す彼女を見ていたら、急にイライラしてきちゃって」
麻由が「いい加減にして」とそう言おうとした瞬間、隣にいた娘が立ち上がり、夫に向かってクッションを投げつけた。
「ハッとしました。なんで現場にいさせてしまったんだろうって」
娘は夫、そして女を交互に見て、「醜い」とひとこと言って、部屋へ上がって行ってしまった。
「そのひとことで自分の怒りはすっと冷めていきました。冷静に話を聞き、女を帰し、夫と2人で今後について話し合いをしました」
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