その時の妻の目は、自分と将来産まれてくる子どもに危害を加える“敵”を見る目になっていた。
妻は、ユウキが木曜日にだけ付けて帰ってくる他のオンナのニオイと痕跡を敏感に察知していたのだ。
「ヒトミとのLINEのやり取りは恥ずかしくて見せられませんでした。妻としてもこれから父親になろうとしている旦那の、醜い面は見たくなかったでしょうし。まあもう今となっては覆水盆に返らずですよ」
離婚、慰謝料、そして養育費……。
一度走り始めていた幸せのレールを自ら踏み外し、好みの女性だからと安易に関係をもったユウキを待っていたのは、あまりにも大きな代償だった。
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