「そういう噂があるのは知ってる。でも、私はそんな手を使わずに舞台監督が望むダンサーになってみせる。あんな人たちと一緒にしないでよ。みんなあの人のことを本当にはわかっていないの。あの人が私を叱るのも、私のせい。泣くことすら間違ってるんだよね。全部、私があの人の理想のダンサーになれていないせいなんだから」
陽菜さんは、まっすぐな目をして言い放ったそうだ。あまりの剣幕に、陽子さんは言葉を失ってしまった。
「でも、ほかのレッスン生の方々の話が忘れられません。『陽菜はどれくらい持つかなぁ。芸術監督は飽き性だから、1年持てばいいほうだよね。次のお気に入りができたら、陽菜の名前すら忘れるんだよ。怖い人だよね~』と言って笑い合っていました。今はひたすら、娘の今後が心配です。あの子は、真剣に芸術監督に向かい合っていますから」
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