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エンタメに溢れる「復讐ブーム」。実生活では絶対NGな理由とは?

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「人を呪わば穴二つ」

他人を呪って殺そうとすれば、自分もその報いで殺されることになるので、墓穴が二つ必要になるという言葉です。

この戒めの言葉で、復讐を取り下げていただければ良いですが、誰しもが聖人君子のような心は持ち合わせていないので、無理でしょう。

憎しみや怒りを無理に封印して、忘れようと努力しても、ちっとも心が晴れないのです。

そういった気晴らしに、昔は後妻打ち(うなわりうち)という行事があったくらいなのです。

サレ妻は使者を立て、「襲来する日時と使用する武器」を宣言し、相当な人数の女性を呼び集めて、夫を奪った後妻の家を襲来していました。

もし、復讐を取り下げられていたら、台所を中心に家財を徹底的に破壊し、竹刀や棒で打ち合う歴史は無かったでしょう。

今回は、家族や身内の生き死にに関わる復讐はまた別物だと思いますので、発言を控えさせていただきます。


©︎gettyimages

では、身近な人間関係の復讐の流儀はあるのでしょうか。

最後に、私が果たした復讐の話を少しさせてください。

まさにあれは晴天の霹靂(へきれき)。不運にも人生が形勢逆転し、崖から谷底に突き落とされた状況下で、僅かに私に残された力というのは「復讐心」でした。

普段から滅多に怒ることの無い性格の私でしたが、あの頃の私にとっては、「復讐」という二文字が生きる為の指針だったのです。

今思い返せば、あの頃「復讐」という生きる為の野心が無ければ、今日まで頑張ってこれなかったと思うのです。

人生を連続ドラマに置き換えると、「復讐」という方向性が無ければ、多分2話くらいで私の人生はエンドロールを迎えていたかもしれません(笑)。

言い換えれば、「復讐」とは、2話以降の話を進める「生きる為のモチベーション」だったのだと思います。

ただ、一つ気をつけていた点は、ニーチェの言葉を借りれば、「怪物と戦う者は、その際自分が怪物にならぬように気をつけるがいい。 長い間、深淵をのぞきこんでいると、深淵もまた、君をのぞきこむ」ということ。

復讐のエネルギーを相手に向けるのではなく、相手に一切干渉せず、復讐心を昇華させて、別の分野へのエネルギーとして使っていました。

相手に同じ屈辱を味わわせたいとか、相手に執着して同等の仕返しに走れば、自分が負のエネルギーを受け取ってしまいます。

ですので、相手と同じ土俵で戦ったりせず、自分を奮起させるエネルギーに変えて、相手と一切関わることなく、今の現状よりも前を向いて高みを目指すようにしていました。

やがて、見えてきた景色や地位が、相手よりも上回っていたり、自然と幸福を感じられる状況になると、不思議と怒りはおさまっていたのです。

それが、ささやかながら、私が果たした復讐なんだと思います。



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