既婚者が不倫に走る原因として一般的には「配偶者への不満」が多いようだ。けれども、そんなわかり易い動機ばかりではない。「最高のパートナー」がいながら、魅力的な異性と出会い、恋をして、不倫へと足を踏み入れてしまう場合も実は少なくない。楽しんだ後にどんな代償を払うことになるのか、想像すらせずに……。
※この記事は取材を元に構成しておりますが、個人のプライバシーに配慮し、一部内容を変更しております。あらかじめご了承ください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
舞(仮名)もそうだった。夫とは稀にみる仲の良いカップルだと自分でも思っていた。二人は小・中学校の同級生で背伸びする必要がなく、自然体で過ごせて楽。さらに多くの思い出を共有していることもあり会話も尽きることがなかった。
お互いの母親は元ママ友。親戚になれたことを喜び、両親を交えて出掛けることも多かった。二人ともいずれ子どもが欲しいと考えていたが、しばらくはこの生活を楽しんでいたかった。
そう、不満など何もなかったのだ。
結婚後は派遣社員として働いていた。労働環境が良く、社員との壁を感じずにすぐに同僚と仲良くなれた。月に何度か食事や飲みに行くうちにプライベートな会話も増えて行き、益々充実した日々を送っていた。
そんなある日、同僚と食事をしていると他部署の男性グループと偶然居合わせ意気投合。その中に亮(仮名)はいた。イケメンなうえ、仕事もできる亮は若手の中ではスター的な存在だった。接点のなかった舞でさえ名前をフルネームで言える。そんな亮との同席に独身の同僚たちは色めき立った。
盛り上がった勢いでLINEグループまで作り、月に二、三度のペースで一緒に飲むように。仲間が増えると職場はグッと楽しくなる。勉強が仕事に変わっただけで学生さながらの毎日。夫もそんな舞に文句を言うどころか喜んでくれた。
そんな満たされた毎日を過ごしていたある日、亮から突然個別でメッセージがきた。
「好きになってしまいました。どうしたら良いですか?」
4歳年下の彼を可愛いと思っていたし、顔を見ればときめいてもいた。慕われているのもわかっていたが、まさかこんなメッセージが来るとは思ってもいなかった。どこかつかみどころがなく、軽やかに立ち回る彼のことだ、派遣で既婚者の自分は、遊ぶには都合の良い相手と思ったのだろうか?
そうであっても人気者の彼から好きだと言われて嬉しくないはずはない。
「美しさと可愛さを兼ね備えたこの年下の男はベッドではどんな顔をするのだろう……」
夫への罪悪感よりも、彼への興味の方が勝った。
Text:女の事件簿調査チーム