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消えゆくホンダの名車たち……。終わりの始まりとは思いたくない!

安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

ホンダのスポーツカーに異変が起きている。2020年10月に、2021年シーズンをもっての「F1撤退」を皮切りに、S660、そしてNSXの生産終了と、スポーツカーからの撤退発表が続々と続いているのだ。

ホンダのスポーツカーといえば、これまで、初代NSXやビート、S2000、インテグラタイプRなど、たくさんあるが、今回は、直近で消えていったホンダのスポーツカーたちを振り返りつつ、ホンダのスポーツカーの今後について考えてみたい。

 

■コンパクト軽スポーツでナンバー1のハンドリング「S660」

かつて、2シーターオープン軽スポーツとして名を馳せたホンダ「ビート」。その実質的な後継車として登場したのが、2015年4月に登場したS660(エスロクロクマル)だ。

ホンダ史上、最も若い開発責任者(椋本陵氏 2015年当時は26歳)が指揮を執ってつくりあげられたこのクルマは、高い旋回性能にこだわり、MRレイアウトを採用。しかも、車両重量は830kg(CVTは850kg)、前軸荷重配分は45%、フロント軸重約373kgというありえないほどの超軽量なフロントセクションとなった。ドライバー席が、後輪タイヤのすぐ手前に来るほど後ろ寄りで、ハンドル操作に対するフロントノーズの応答性は、軽の領域はおろか、スポーツカーも真っ青なレベルで俊敏だ。

ホンダS660。エンジンが車両後方に配置されていることで、フロントの軽量化とボンネット高を低くできた。

既にS660は販売終了しており、手に入れるには中古を探すしかない。2度と世に現れないかもしれない、ホンダ軽スポーツの名車の一台であった。

 

■ホンダ技術の全てが詰まったスーパースポーツ4WD「NSX」

オールアルミボディかつミッドシップ後輪駆動スポーツカーとして、名車となった初代NSX。その跡を継いだ2代目NSXが誕生したのは2016年のこと。

2代目は、3.5L V6 ツインターボをミッドシップし、フロント2基とリヤ1基のモーターを組み合わせた、高度な電動4WDのハイブリッドシステム「SPORT HYBRID SH-AWD」を採用。エンジンとモーターを合わせたシステム最高出力は、581ps、システム最大トルクは65.9kgmを発生。0-100km/h加速は約3秒だ。当時のホンダが持つ技術の集合体のような構成であった。

タイプSは、内外装デザインの変更と共に、モーター制御を改良し、システム最高出力は581psから610ps、システム最大トルクも65.9kgmから68.0kgmへとパワーアップしている。

その戦闘的なデザインや、異次元の加速の速さに憧れる人は多かったが、全幅1940mm(初代は1810mm程度)、車重も1710kg(初代は約1350kg)と、重量級ボディをパワーでねじ伏せるようなアメリカナイズされた構成と、2400万円超えという超高額で、一般人を寄せつけなかった。

2021年8月に発表された最終モデルの「タイプS」は、世界限定350台のうち日本への割り当ては30台、価格は2794万円。当面、この手のスーパースポーツは出てこないだろう。

 

■ニュルFFタイムアタックでナンバー1を争う「シビックタイプR」

5代目となる現行シビックタイプR(FK8型)は、2017年7月にデビュー。「操る喜び」をキーワードに、サーキットから市街地まで、様々なシーンに応じた高いパフォーマンスで大好評を得た。エンジンは2.0L 直4ターボ、最高出力320ps、最大トルク40.8kgmを誇る。トランスミッションは6速MTのみ、サスペンションは、リアマルチリンクを採用し、245/30ZR20サイズのスポーツタイヤを履く。ルノーメガーヌR.S.とのニュルブルクリンクFF最速を競っている最速FFマシンだ。このモデルも既に受注終了となっている。

タイプRリミテッドでは、防音材撤去や構造合理化により、マイナス13キロ、鍛造ホイールでマイナス10キロ、トータルで23kgの軽量化を実現した。

なお2020年10月のマイナーチェンジで登場した、国内限定200台のホンダのFK8型シビックタイプRリミテッドエディションは、予約開始直後にあっという間に完売。中古市場でも、1500万円を超えた個体も出たほど、人気となっている。

 

■全滅寸前のホンダスポーツだが、光も見える

このように、ホンダのスポーツカーファンに楽しまれていたスポーツカー3台が、純減となってしまった。次期型モデルのアナウンスもないため、スポーツカーのラインアップが、ぽっかりと開いてしまったことになる。ホンダといえば、他にも、オデッセイやレジェンドも年内で生産終了することが発表されている。

かつてのミニバン王者「オデッセイ」も、2021年内で生産終了となる。

ただ、ホンダは「自分たちがつくりたいものを作る」というモチベーションを、ひと際大切にしているメーカーだ。筆者もそうであったが、自動車メーカーで働くエンジニアたちの多くは、クルマが好きでクルマ開発に携わりたくて、その道を選んだ人が多い。経営判断で思うようにいかないことも多いだろう(だから今回のようなスポーツカーの消滅に至ったのだろう)が、必ず、また素晴らしいスポーツカーを生み出してくれるだろう。

2020年11月のモデルチェンジで登場したN-ONE RS。CVTに加えてN-ONEファン待望の6速MT仕様もある、快速「軽」コンパクトだ。

現時点、ホンダのスポーティな味付けがされたモデルとしては、N-ONE RSや、モデューロシリーズ(フィット、ステップワゴン、フリード)などがあるが、本当に望まれているのは、もっとパンチのあるスポーツカーだ。来年2022年には、つい先日発売となった新型シビックの「タイプR」の登場がホンダからアナウンスされているし、ホンダの高級車ブランド「アキュラ」は、2022年に北米で、あの往年の名車「インテグラ」を復活させることを発表している。インテグラの日本導入は厳しいであろうが、ホンダのスポーツカーはこれからもファンを楽しませてくれることを大いに期待したい。

Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:HONDA
Edit:Takashi Ogiyama



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