道に迷ったから出逢えた、極上の一着!
洋品、車、ワインで、それぞれ家一軒分ほど散財するという趣味が高じて、2019年東京・人形町にヴィンテージショップ「Tango245」を開店した結城恵介さん。
膨大な数の服を所有してきた結城さんが、なかでも捨てられなかった服をご紹介する企画の第8回目は、コノリーのレザーブルゾンです。
私だけかもしれませんが、ロンドンのサヴィルロウの辺りは、少し迷路みたいになっていて、気を抜いて歩いていると道に迷ってしまい…、早めに軌道修正しないと まったく別のところへ出くわすなんてこともしばしば。
急いでいるときは困ってしまいますが、そうでないときは偶然な新たな発見なんかもあり、コノリーの路面店に出逢えたのは、そんな偶然の産物でした。
コノリーの存在は知っていましたが、当時 路面店があるのは知らず、興味が湧いて入ってみたところ、手前には周知の小物中心のラインナップでしたが、奥へ進むにつれレザーをふんだんに使ったウェア類の扱いもありました。
そこで、MADE IN FRANCE 表記のブルゾンやハーフコートをいくつか購入して帰路につきました。
コノリーと言えば、ロールス・ロイスなどに使われているコノリーレザーが有名ですが、これは自動車のレザーシートに使われますので、その辺の自動車用レザーに比べれば 高級ではありますものの、硬く耐久性に振っているように感じていました。
ですが、このブルゾンはしっとり感があります。表示がフランス製となっていることもありますが、ジップがriri製であったり、この作りから見ると恐らく製造はセラファン、レザーも もしかしたらセラファンのものかもしれません。
革で有名なメーカーが他社の革を使っても良いのか?とも思いますが、セラファンのレザーを使ったセラファン製のコノリータグというのも、ポルシェの工場でチューンされた初期の500E(メルセデス・ベンツ)のようで気に入っております。
何よりエルメス調の白いステッチも上品ですし、購入後何も手入れはしていませんが、カピカピになるようなこともありません。
現在コノリーは、銀座に路面店を構え、セレクトショップでポップアップなども催しておりますが、小物やカバンが中心でアウター類はあまりないようです。あったとしても100万円前後ですので、これはイイ買い物だったと思います。
ときには 道に迷うのもいいかもしれませんね。
Photo:Shimpei Suzuki(Item)
Edit:Ryutaro Yanaka
結城恵介
ヴィンテージショップ、Tango245店主
DCブランドや英国物、イタリアンブランド、クラシコイタリア等の荒波にもまれながら、会社員時代、出張にかこつけてビスポーク、スミズーラを巡る旅に年数回出るまでに。その趣味が高じて2019年ヴィンテージショップを開店。欧州の銘品、逸品を販売する一方で、日本の若い職人と組んだ別注品も手掛け、海外展開を計画。散財額は、洋品、車、ワインそれぞれで 家一軒分? モットーは「迷ったら全部買う」