こんにちは。
腕時計羅針盤、RYです。
みなさん、先週の「中秋の名月」ご覧になられましたか?
一年を通して最も美しく見える月とも言われている中秋の名月、秋の夜長を楽しまれた方も多かったのではないでしょうか。
そこで今回は、月と時計の関わりを紐解いていき、”月相”を表示する「ムーンフェイズ」機構を搭載したロマンチックな腕時計も紹介していきたいと思います。
月と地球の関係
時計の話に入る前に、月という天体について簡単にまとめてみたいと思います。
月は太陽系の中で、地球に最も近い自然の天体であり、人類が到達したことのある唯一の地球外の天体です。
月の直径は約3474km、地球の約4分の1となっています。ちなみに、土星や木星にも月はあるようで、それぞれの直径は土星の約23分の1、木星の約27分の1となっています。
地球から月までの距離は約38万4403km、あのアポロ11号のフライトでは、地球から月面まで約195時間だったようです。
これらのことから、月がいかに地球にとって近く大きな天体かということがわかるかと思います。
月が我々に与える影響
これだけ地球にとって大きな天体である月は、必然と影響力を持ちます。
例えば、海の潮の満ち引きは月の引力が関係していますよね。その他にも、少しスピリチュアルなところでは、人体のバイオリズムや動物の行動にも関係しているという話もありますし、和歌や文学にも昔から多く登場しています。
かの古代バビロニア(現イラク南部)の人々は、月が約29.5日間で周期的に満ち欠けしていることを発見し、この1サイクルを1ヶ月と定めました。これを太陰暦と言い、現在イスラム圏で使われているヒジュラ暦へと繋がっています。
このように月は古代から現代まで、様々な影響を我々に及ぼしているんですね。
ムーンフェイズとは?
そんな月の満ち欠け(月相)を時計の文字盤上で表示する機構を「ムーンフェイズ」と言います。複雑機構の一つで、製作には高い技術力が求められます。特に、高精度のムーンフェイズともなると、作ることができるブランドはほんの一握りです。
先述の通り、月相の1サイクルは約29.5日ですが、正確には29日12時間44分2.8秒です。
一般的なムーンフェイズは、1サイクルで44分2.8秒の誤差、理論上約2年半で1日の誤差が生じてしまいますが、精度を高めたムーンフェイズには約122年で1日の誤差というものや、1058年に1日の誤差という驚異的な精度を誇るものもあります。まさに天文学的数字ですね(驚)。
このように、ムーンフェイズは機械的な凄さも魅力的ですが、その見た目の美しさも妖艶な魔力を宿しています。
そこで今回は、インスタグラムの大人気ハッシュタグ#腕時計魂の中から、私が目を奪われたムーンフェイズ時計を3本紹介したいと思います。
1本目はジャガールクルトのマスター・ウルトラスリム・ムーン・エナメルです。
ジャガールクルトは古くから数々の名ムーブメントを開発しており、”超絶技巧の技術屋ブランド”的なイメージが個人的にはありますが、こちらの時計は文字盤にギョーシェ彫りとエナメル装飾、そして夜空を思わせる”ミッドナイトブルー”の文字盤と、まさに中も外も絶品の一本。
そして、文字盤下部に配されたムーンフェイズのなんと美しいことか……。艶やかなお月様が顔を覗かせ、満点の星が夜空を華やかに飾っています。もうずっと見ていられそうですね。
ムーンフェイズという複雑な機構を搭載しておきながら、厚さはたった10.04mmという薄さ、パワーリザーブは70時間というスペックを実現できるところに、ジャガールクルトの凄みを感じます。
こちらのモデルは2019年発表の限定モデルで、たった100本しか生産されていない貴重な一本となっています。もう新品では手に入らないであろうという哀愁もあってか、目も心も奪われました。
2本目は、ブレゲのクラシック・ムーンフェイズです。
ムーンフェイズを語る上で外すことのできないブランドがブレゲです。
時計界のレオナルド・ダヴィンチとも称される天才時計師アラブアン・ルイ・ブレゲは、数々の発明と偉業を成し遂げてきました。
ムーンフェイズや天体時計(置時計や塔の時計)は古くから存在していましたが、18世紀の終わりごろ、世界で初めてムーンフェイズを懐中時計に搭載したのもルイ・ブレゲです。
そのような歴史もあり、こちらのクラシック・ムーンフェイズは言わば血統書付きのムーンフェイズと言えるかもしれません。
独特なアラビア数字やコインエッジ、”ブレゲ針”など随所にブレゲならではの伝統と特徴を感じることができます。
中でも特に目を引くのは、特徴的な顔を持ったお月様ではないでしょうか。
実はムーンフェイズの月の顔にもトレンドがあり、こちらの”成熟した男性の顔”は、主に18~19世紀ごろに流行していた顔とも言われています。
積み重ねてきた歴史と伝統を感じることができるムーンフェイズに、目を奪われました。
3本目は、A.ランゲ&ゾーネのランゲ1・ムーンフェイズです。
A.ランゲ&ゾーネのムーンフェイズは特殊な作りをしています。
通常とは異なり、なんと”月のディスク”と”空のディスク”がそれぞれ独立しており、豊かな表情を楽しむことができます。
例えば日中は、このtakurt0408さんの写真のように青空が表示されています。それが徐々に夜空へと変化していき、夜になると満点の星空が文字盤上に表れます。また、月は独立して動くため、「月+青空」や「月+星空」といったバリエーションも可能となるのです。
しかも、こちらのムーンフェイズの精度は約122.6年に1日の誤差という、驚異的な精度を誇っています。
美しさや精度、機能性などあらゆる面で完璧を目指す姿勢も含めて、目を奪われた一本です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回は、ムーンフェイズを搭載した腕時計について書いてみました。
ムーンフェイズは古来より伝わる複雑機構にして、最もロマンチックな機構だと私は考えています。
次の満月は10月31日。
ムーンフェイズを腕に巻いて、想いを馳せるもよし、うんちくを語るのもよし。あるいは、好きな人に「今夜は月が綺麗ですね」なんて言ってみるのもいいかもしれませんね。笑
今回の内容が、皆さんの時計選びの参考になれば嬉しいです。
それではまた!ごきげんよう!