ダッフルコートには永遠の憧れのようなものがあります!
『MEN’S Precious』を中心に、数々のカタログなども手掛け、ファッションエディターとして活躍する山下英介さん。
膨大な数を所有してきた山下さんが、なかでも捨てられなかった服をご紹介する企画の第3回目は、「フォードミルズ」のダッフルコートです。
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19〜20歳当時は、欲しいものがたくさんあったけど、やっぱりどれも高くてなかなか買えませんでした。小沢健二に憧れて、ダッフルコートも欲しくて いろいろ探してみたんですが、エルメスのダッフルなんか高すぎて まったく手が出ず……。
他のカットパイルのヘリンボーン地で仕立てられたダッフル、「チベット」とかですら7〜8万して買えなかったから諦めて、メルトン地で、しかもトグルは革ではなく麻紐で留めるタイプに切り替えました。
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当時、渋谷西武SEEDの最上階にセレクトショップがありまして、そこのセールで2万3000円で買ったのを覚えています。「フォードミルズ」というブランドは知りませんでしたが、タグを見るとアングローバルが買い付けていますし、イギリス製のダッフルで2万3000円は かなりお買い得だったと思います。
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これにジーパン穿いて、前回のレッドウィングを履くのが冬の定番だった気がしますが、これ着て自転車に乗ったりもしていたから麻紐が擦り切れて、自分で補修もしていました。
ただ、やっぱり着ていたときは「安っぽくて嫌だなぁ」と思っていて、どうしてもカットパイルが買えない代わりに着ているというコンプレックスを拭い去れなくて、段々と着なくなっていったんです。
結構着込んだ割りには痛みもなく、まだまだ着られるのに捨てるのは忍びない。それでなんとなく残していたんですが、オッサンになった今やっと、この安っぽいメルトンの良さが分かってきた気もします。
だから久々に袖を通してみようと思っています。ここ最近、フレンチトラッドの流れが来てる気がするので、ホワイトジーンズに合わせてみようかな。
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Photo:Shimpei Suzuki
Edit:Ryutaro Yanaka
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ファッションエディター
大学卒業後いくつかの出版社勤務を経て、2008年からフリーのファッションエディターとして活動。ファッションディレクターとして参画している『MEN’S Precious』を中心に、数々のカタログなども手掛ける。背景にクラシックな文化を感じさせるものに興味を持ち、まだ知られていない世界の名品やファッション文化を伝えるべく日々精進中。1976年埼玉県生まれ。