プランシングホースと電脳ポニーの登場に思うこと
前回、跳ね馬の新型車「Ferrari Roma」のニュースをお伝えしたばかりですが、先週末の 2019年11月16日、F1チームを運営するスクーデリア・フェラーリが創立90周年を迎えました。創始者であるエンツォ・フェラーリもさぞお喜びのことでしょうね。
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一方その頃、スクーデリア・フェラーリは海を渡った南米ブラジルへ遠征中。予選では、F1界の赤い彗星シャルル・ルクレールがパワーユニット補器類の交換でペナルティとなり、10グリッド降格の14番手。セバスチャン・ベッテルはフロントローの2番手を確保し、翌17日、ブラジルGP決勝レースがスタートします。
ところがところが。ガンガン追い上げたシャルル様がベッテルをパスした直後のストレートエンド、コレに負けじと抜き返そうとしたベッテルの左リアタイヤとシャルル様の右フロントタイヤが接触。なんと同士討ちのカタチでスクーデリア・フェラーリのGPが終了するのです。ワタシが思うにこのアクシデント、アウト側ラインを残していたシャルル様の若さが招いたレーシングアクシデントと判定いたします。
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レースはポールスタートのレッドブル・ホンダ/マックス・フェルスタッペンが今季3勝目をゲット。2位はトロ・ロッソホンダ/ピエール・ガスリーが、チャンピオンのメルセデスAMG/ルイス・ハミルトンを抑えこみ初めてのお立ち台に。ホンダパワーユニット搭載車の1-2フィニッシュは1991年以来の出来事。奇しくもこの日はホンダの創業者である本田宗一郎の誕生日。ひょっとしたらセナ様が神風を呼んだのかもしれませんね。
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さて、今回お伝えするのは米国の名車フォード・マスタングに、BEVの「Ford Mustang Mach-E」が加わったニュースです。1960年代にポニーカーとして誕生したマスタングですが、生い立ちはともかく、スティーブ・マックイーンがド派手なカーチェイスを演じた『ブリット』やニコラス・ケイジの『60セカンズ』、あるいは大人の恋を描いた『男と女』あたりを思い出す車名です。
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F1ブラジルGPに続きこの「Ford Mustang Mach-E」のワールドプレミアをストリーミングで見ていたのですが、おまえら全員サクラかよってくらい盛り上がっておりました。ファストバックでもクーペでもないクロスオーバーの新生マスタングファミリーのこのモデル、中年のワタシにはNGでも、この車名ならゲームチェンジャーになりえるか? と思えば、この戦略は大アリだと納得したのです。
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BEVは今後、加速度的にラインナップを拡大するカテゴリーです。直近ではカリフォルニア州で調達するセダンの公用車は何らかのカタチで電動化した車両しか購入しないことを決定済み。ココでいまヤリ玉に挙がっているのが、トヨタやGMをはじめとする10社の自動車メーカーです。一方、ホンダやフォード、BMWやVWはこの施策を受け入れ購入可能なリストに名を連ねています。さて、どうなることやら。
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ハナシを戻して電脳ポニーの概要です。気になる航続距離は北米EPA基準で最大約300マイル。バッテリー容量に応じていくつかグレードが設定されるのでしょう。0-60マイルに達する加速性能は3秒半ばの実力とか。その名に恥じない十分なパフォーマンスをもち合わせているようです。
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このワールドプレミアを終えたばかりの「Ford Mustang Mach-E」ですが、米国ではすでに受注が開始されています。申込金は500ドル。2020年早々にHP上でコンフィギュレーターが運用され、仕様決定後、順次生産し納車が始まります。日本はフォードが撤退したマーケットなだけに残念でなりません。
どこぞのクルマ番組じゃありませんが、名車再生とは、まさにこのようなケースを指すのかもしれません。まだまだ過渡期とはいえ、来るべき新たなモータリゼーションの幕開けに期待せざるを得ません。
Text:Seiichi Norishige
■Mustang Lifetime Achievement | Mustang Mach-E | Ford