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マルチタスクはビジネスの御法度!? 本当に効率の良い仕事の方法を徹底解説

2019.6.17 2019.6.17
2019.6.17

98%の人は、本質的にマルチタスクができません

仕事において、「効率」を重視していらっしゃる方は多いと思います。そんな方々は(恐らく)会議に出ながら別件のメールのやりとりをしたり通勤電車で資料を作ったりと、マルチタスク――つまり「○○しながら✖✖する」ということを日常的に行っているのではないでしょうか。

本記事では、そんなマルチタスクの裏側をじっくり解説していきます。効率重視のビジネスマンの読者諸氏は、ぜひ最後までお読みくださいませ。

マルチタスクとは

マルチタスクとは、複数の作業を並行して行うことです。元々はコンピュータの用語を指していましたが、最近では人間が行う作業のことを指す場合が増えてきました。1990年代~2000年代にかけては様々な本や記事でマルチタスクについて書かれており、一種の流行だったとも言えるでしょう。

現在でも「デキるビジネスマン」の特徴の最たるものであるように思われるマルチタスクですが、実態はどういうものなのでしょうか。

効率が悪い!? マルチタスク

そう、実はマルチタスクは仕事の効率を下げると言われているのです。同時並行で作業をしていれば作業スピードも2倍!のはずが、なぜいけないのでしょうか?

その理由は、マルチタスクをしている時の脳の仕組みにあります。それは「タスク・スイッチング」。タスク・スイッチングとは、語句の通り作業を切り替えること。つまり、「○○をしながら××」ではなく「○○の途中で××をし、また○○に戻る」という流れのことです。

それがなぜ効率を下げるかといえば、作業を切り替えている間にわずかのズレが生じるからです。会議に出ている時にメールのやりとりをしていると言っても、会議で発言を求められたら一度メールを打つ手を止めますよね。メール→会議→メールの切り替えは時間的にもロスが増えますし、切り替えが多いことで脳の認識力にも負担がかかります。

そもそも、人間は「○○しながら××」はできない生き物。今まで「マルチタスク」だと思っていた仕事は単に行っている作業をコロコロ切り替えているだけで、決して「マルチ」なものではないと言えましょう。

マルチタスクのデメリット

マルチタスク、否、タスク・スイッチングが非効率的であることは上記の通りですが、具体的にはどのような問題が起こるのでしょうか。

・生産性の低下

ある作業からある作業に切り替えるとして、その切り替える時間は大幅なロスです。当然、複雑な作業に移るときほどそのロスは大きくなりますが、最悪の場合は仕事の生産性が40%ほど低下してしまう恐れがあるというのです。

また、ハーバード大の研究によると「仕事のできる社員は作業中にほとんど注意の向きを変えない(=作業を切り替えない)けれど、忙しなく動いている社員たちは1日に500回も作業を切り替える」とも言われています。500回も注意の向きを変えていれば、仕事能率が下がるのも頷けますよね。

・IQ低下

マルチタスクをしているとIQが下がる、という研究結果があります。

これはマルチタスクをしている人に認識力テストを受けてもらい、そのIQを測るという実験に基づいたものです。驚くことに、麻薬(マリファナ)を吸っている人や徹夜をした人のIQよりもマルチタスク中の人のIQの方が低く、大体8歳児の知能と同程度になってしまうそうですよ。

極論、マルチタスク中の仕事は8歳児がやる仕事と同レベルになってしまうということですね。

・認知症のおそれ

更に、マルチタスクによる脳へのダメージは一時的なものではありません。マルチタスクを継続していると、精神の疲労・脳の損傷が酷いものになってしまうのです。

マルチタスクが習慣になっている人は、認知症になる可能性が高いと言われています。それは、ストレスの多い生活を送っている人によく見られる「コルチゾール」というホルモンが、脳の記憶を司る部分に影響してしまうからだそうです。マルチタスクのような仕事の仕方をしていると、記憶力にダメージを負うほどストレスが溜まってしまうというわけですね。

「マルチタスクって、認知症予防に良いって聞いたことがあるけど?」という方もいらっしゃるかもしれません。しかしそれは「本来の意味でのながら作業」のこと。色々な仕事を同時に行うのではなく、例えば「テレビを見ながら家事をする」「歩きながら暗算をする」といった「考えずともできる動作+考える動作」は認知症予防に有効だと言われています。こういった作業方法を「デュアルタスク」といいます。

・肥満のおそれ

食事中のマルチタスクは肥満の可能性が高まります。これはなぜかと言いますと、マルチタスクをしていると、脳が満腹を感じにくくなってしまうからなのです。

食事に集中していないと満足感を得ることができなくなり、結果間食が増えてしまうというわけです。「食事はちゃんととっているはずなのに、なんだか間食してしまう……」という人は、ちゃんと食事に集中できる環境を整えてみると違うかもしれませんね!

女性はマルチタスクが得意?

女性はマルチタスクが得意、という説を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。または、「働くママ」のように日々の生活で様々なタスクをこなしているのが「デキる女性」だと考えている人も少なくないかもしれません。

女性が家事のほとんどをこなしていた時代、女性の仕事は「掃除をしながら子どもをあやして、それから夕食の準備をして……」というようなものでした。更にその昔、原始の時代は男性は狩猟に集中するもの、女性はそれ以外の家の仕事をこなしておく、という性別役割分担がなされていました。そのため、女性は並行処理能力が高いと言われていたのです。

しかし、近年その「女性はマルチタスク得意説」が誤解であるという風潮になってきています。最近の研究によると、マルチタスクについての男女による脳の違いはほんの微々たるものなんだそう。

進化の過程や文化の発展によって少しは影響もあったのかもしれませんが、これからは「マルチタスクをこなすかっこいい女性」という誤った「デキる女」観が払拭されていくと考えられます。

マルチタスクと例外

仕事の能率を下げるマルチタスクのお話をしていましたが、似たようなケースや、マルチタスクに向いている人種もあることにはあります。

・デュアルタスク

「認知症のおそれ」の項目でご紹介した「デュアルタスク」がまず1つ。専門用語を使うと「運動+認知課題」、つまり身体を動かすこと+頭を動かすこと、ということですね。

運動といっても走ったりトレーニングをしたりというものではなく、何も考えなくてもできるもの――散歩や踏み台昇降のような運動を指しています。これらを組み合わせることで、脳が活性化すると言われているのです。ステッパーなどの器具が家にある方は、使いながら読書をしたり英語の動画教材を見たりと試してみると良いでしょう。

・スーパータスカーとは

この言葉を聞いたことはありますか? スーパータスカーとは、実はマルチタスクによって脳に悪影響が生まれないレアな人々のことを指している言葉なのです。

ここまで散々説明している通り、我々のほとんどは、「考えなければいけない仕事」を同時並行で進めることはできません。しかし、とある実験では「運転テスト」と「記憶力テスト」を同時に行っても成績が下がらない人が存在しました。つまり、彼らは例外的に「マルチタスクができる人々」である、ということです。

ただし! この結果があるからといって、「じゃあ僕もスーパータスカーかも!」とは思わないでください。スーパータスカーは、現時点で全人口の2%と言われています。彼らの脳の仕組みについては現在研究中ということで詳しいことはわかっていませんが、ほぼ確実に我々とは異なった構造をしていると見るべきでしょう。

ど~うしても気になる、タスク処理に自信がある!という人は、ネットでスーパータスカー診断をしてみてください。くれぐれも過信して「ながら運転」などなさらないようにお願い致します!

なぜ人はマルチタスクをしてしまうのか

さて、ここまで読んでくださった皆さま、何か思うところはございませんでしたか? 脳や仕事に悪影響だということは理解しつつも、仕事をしている限りマルチタスクになってしまうのは仕方がないだろう!と思ってしまったのではありませんか?

会議中にメールをしないといけないこともあるし、電話中に資料を作らないといけない状況だって避けられません。なぜ人はマルチタスクで仕事をしてしまうのでしょうか。

・ツァイガルニク効果

まず挙げられるのが「ツァイガルニク効果」です。これは、簡単に言うと「未完のものが気になってしまう」人間の心理を表したものです。

人間の脳は、終わっていないものや達成できなかったものに対して強い印象を持ってしまうのだそう。楽しみにしていたドラマの最終話だけ録画できていなかったら、気になって気になって仕方がないですよね。イラつきさえするかもしれません。

会議中に来る取引先からの重要なメールも同じこと。会議の時間中ずっと放っておいたメールは「未完のタスク」として脳内で処理されます。そのため、なるべく早く用事を終わらせようとしてメールをチェックしてしまうのです。

仕事でも勉強でも「キリの良いところまで!」と決めてなかなか終われない人は多いのではないでしょうか。中断を嫌がる人間の心理的には当然のことなのですが、実は一定時間で強制的に休憩をとった方が、脳が「続きが気になる」と認識して集中力が途切れにくくなるんですよ。ツァイガルニク効果を絶ち切って、効率良く仕事をしましょう。

・ドーパミン

マルチタスクをすると、人は気持ちが良くなります。なぜなら、脳は「新しい情報」が好きだから。タスクを切り替え切り替え仕事をしていると、それだけ脳に新しい情報が入ってきますよね。そうすると脳が喜び、「快楽ホルモン」であるドーパミンが多量に放出されるのです。

こうしていくうちに脳はドーパミン中毒のようになっていきます。SNSを小刻みにチェックする人なども同様です。しかし、この状態の人間の脳は多量の情報に混乱しているわけですから、良いコンディションとは言えないでしょう。

・悪循環

上記2つの理由により、悪循環が生まれてしまいます。ツァイガルニク効果の「キリの良いところまで」でなんだかんだと終わらせられなかったり、ドーパミンが出ることによってまた新しい情報新しい情報と他の作業に目移りしてしまったりということです。これらを断ち切らないことには、マルチタスクの連鎖は止まらないでしょう。

マルチタスク癖をやめる方法

〈シングルタスク〉とは

マルチタスクをやめる方法を伝授する前に、まずはシングルタスクについて知っておく必要があります。シングルタスクとは、マルチタスクとは逆で「1つの仕事を終わらせてから次の仕事に取り掛かる」方法のこと。一度にいくつもの仕事をこなさない、という意識を常に持っておくことが重要です。

では、ここからマルチタスクをやめてシングルタスクにしていく方法をご紹介します。

・バッチ処理

バッチ処理とは元々パソコン用語で

複数のプログラムからなる作業において、あらかじめ一連の手順を登録しておき、まとめて連続的に実行する方式。または、一定期間や一定量ごとにデータをまとめて一括して処理する方式
(IT用語辞典より)

のこと。ビジネス上では、似たような仕事はまとめておいて一気にやるという仕事の方法を指します。メールを返信して、その案件の書類を作って……という方法ではなく、未読メールは一気に目を通して返信する、資料作りは時間を作ってまとめて行う、という方が効率よく仕事ができるため、シングルタスクを目指す場合はこのバッチ処理から会得するのが良いでしょう。

・Todoリスト

毎日のTodoリストを作っている方、いらっしゃいますか? 実は、Todoリストを作ることはマルチタスクをやめる方法としてとっても優れているのです。

作り方は本当に簡単で、「やるべきことを順にずらっと書いていくだけ」。優先度を設定したりといった複雑なことは一切必要ありません。書いてあるタスクを上から順番にクリアしていく、そうやって目の前のことに集中すればマルチタスクをする気にもならないはずです。

更におすすめなのは「やることリスト(全体)」と「やることリスト(今日)」の2つを作っておくこと。毎日「全体」リストから今日やるべきことをピックアップし「今日」リストを作成するのです。思い出したタスクがあればとりあえず「全体」の方に放り込んでおけば長い間放置してしまう恐れもありませんし、あれやこれやと気になってしまうこともないでしょう。

仕事というのはリストにするだけでだいぶ整理できるものですから、ぜひTodoリストを活用してみてください!

・パーキングロット法

「パーキングロット」とは駐車場のこと。これは1人で作業する場合も大勢で作業する場合も使える方法で、様々な議題やタスクがある時に「本筋に関係ないことは一旦置いておく」というものです。

会議中、本筋には関係ない、でも重要な話題が飛び込んできて、そちらの方を議論してしまう……というようなことはありませんか? そうやって会議の時間が押してしまう、なんて困ってしまいますよね。そういう時は、一度ホワイトボードにその重要な話題を書きとめておきましょう。「今考えるべきことではないけれど、忘れてしまうといけないから書いておこう」というわけです。1人で作業している時は、思いついたことはノートの切れ端にでもメモしておいて、後で考えるという癖をつけてください。

Todoリストとも少し似ていますが、様々な情報が飛び交う仕事の中で1つずつクリアしていくには有効な方法と言えるでしょう。

・あえてアナログに戻る

そもそも、パソコンやスマートフォンなどの機器がマルチタスク最大の敵だとは思いませんか? たくさんタブを開いておけるし、通知をONにしておけばどんな仕事をしていてもメールに気づくことができるし、気になることがあればどんなことでもネットで即座に調べられてしまいますよね。

そこで、シングルタスクに切り替えるためにはあえてアナログなものを使おうという方法です。例えば、紙とペンだけあればスケジュール管理はできますよね。余計な情報を入れずに集中して仕事を進めるには、一度デジタルから離れてみるのも良い手だと思われます。

どうしてもスマホを手放すことができない仕事をしている方は、通知を切るだけでもかなり違いますよ。試しに実行してみてはいかがでしょうか?

まとめ

仕事をする中で、次から次へと降ってくるタスクをやりくりするのは、ビジネスマンとして必要な能力です。しかし、それを同時進行することだけが優秀さの基準ではありません。上記でご説明したように、マルチタスク=タスク・スイッチングは決して素晴らしいものではないからです。

ですが、この記事を読んで本当に効率の良い仕事の進め方を知った皆様は、明日からもっと素敵で優秀なビジネスマンになれること間違いなし! シングルタスクで余裕のあるビジネスライフを楽しんでくださいね。

Text:K.S
Photo:Getty Images

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