人が履いてるとカッコいいんですが、自分で履いてみると…
さて、125回めは また戻って「エルメス(Hermès)」。ハイカットのスニーカー「ジミー (Jimmy)」です。まぁ、見てもらったらお分かりの通り、世界で最も有名な"あの"スニーカーをモチーフにしたモデルですね。
若かりし頃は "あの"スニーカーをホントよく履きました。当時の東京靴流通センターでは MADE IN U.S.A.のモデルがワゴンで投げ売り状態。2,000円でお釣りがきたので、スケボーの練習用靴として買っては潰すを繰り返してたんです。僕はグーフィースタンスなんで レギュラーでサイズが同じ友達と傷んでない方を交換しあったりして ネガティブ履きしたのも良い思い出です。
ただ年齢を重ねるにつれ、ハイカットからローカットに変わり、ローカットは履き口のステッチがすぐに飛んで貧乏くさいのが嫌なのと、カート・コバーンの影響でジャック・パーセルに浮気したり、他にも履きやすくてカッコいい靴がたくさんリリースされ出したのも影響して、ほとんど買うこともなくなりました。
で 時は流れ、編集の仕事をするようになると 外人モデルちゃんが撮影現場に履き込んでイイ雰囲気になったハイカットをサラッと履いてくる姿をよく目にするようになるんですね。それ見ると、やっぱカッコいいなぁって。でも、現行モデル履くのは抵抗あるし、ヴィンテージの価格は当時の定価を知ってたら手を出しにくい……。結局は気になるけど買わないってな状況が続きました。
そんな折に出逢ってしまったのが、今回のジミー。店頭に並んでるのを見た瞬間に「コレじゃん!」って心惹かれちゃったわけです。だって見てください、このステッチ。美しすぎませんか?
さらに、コバを含め、履き口やカカトなどの負荷がかかりそうな部分、そしてインソールと内側に至るまでエルメスが誇るレザーが張られているんです。パッと見 キャンバスのローテクスニーカーなのに、なんとも贅沢。
このジミーには ボディ全体がレザーのモデルもあるんですが、気分的にはキャンバスの方に惹かれちゃう。ノスタルジー。
デニムっぽいインディゴカラーも ソールの白、コバのヌバックカラーとよく合っていて最&高!
それと"あの"スニーカーは バスケット時にくるぶし同士がぶつかることによるキャンバスの擦れを避けるためにアンクルパッチが内側に付いていて どうもそれが好きになれなかったんですが、このコは外側に付いてる。
あえて挙げるなら その価格が大いに気になりましたが まぁエルメスだから仕方ない(笑)。今回も華麗に清水ダイブをキメました。
アウトソールの滑り止め用の溝も「よく見たら H」なんですが、ジミーに関しては 先に上げたエルメスのエンブレムにデカデカと「H」のマークが入っちゃってる。
あっ、でも同色での刻印になって見えづらいから、やっぱり「よく見たら H」か(笑)。
で、外国人モデルよろしく、履き込んで無造作に履いてみようかと思ったんですが、実際に足入れしてコーディネートしてみたら 想像してたんとちゃーう…。なんだか履いてます感が強い、強すぎる……。
ってなわけで ご覧の通り、買って結構経ちますが 全然キレイなまま。もう少し齢を重ねて、肩の力が抜けたジジィになって気負わずに履けるようになったら、もう一回チャレンジしてみましょうかね。ごめん、儚いけど それまで眠っててね。
Photo:Naoto Otsubo
Text:Ryutaro Yanaka