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FASHION 僕が捨てなかった服

【その名は ナカムラBD】完全復活させるほど強い思い入れのあるシャツとは?

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人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。

大きな衝撃を受けた、ワイドスプレッドなボタンダウンシャツ

人生には、どうしても手放せなかった服、そう「捨てなかった服」があります。そんな服にこそ、真の価値を見出せるものではないでしょうか。そこで、この連載では、ファッション業界の先人たちが、人生に於いて「捨てなかった服」を紹介。その人なりのこだわりや良いものを詳らかにし、スタイルのある人物のファッション観に迫ることにします。成毛賢次さんに続いて登場するのは、ビームスのクリエイティブディレクター、中村達也さん

中村さんが膨大な数を所有してきた中でも捨てられなかった服をご紹介する企画の第11回目は、ルイジ ボレッリのチェックシャツです。

80年代後半、ルイジ ボレッリがまだ日本に入り出して間もない頃のシャツです。

ボレッリはイタリアモノの中でもかなり早い時期に日本に入ってきたブランドなのですが、僕らが最もショッキングだったのはハンドメイドということ。手縫いのシャツっていうもの自体を見たことがなかったのです。イギリスのターンブル&アッサーのようにしっかりミシンで縫われていたものが多かったですし。

そして、「手で縫っているのか!?」という感嘆とともに、もうひとつ驚かされたのが襟がボタンダウンなのに、ワイドスプレッド! この後、いくつかのブランドで見ることにはなるのですが、ワイドスプレッドのボタンダウンはボレッリで初めて見ることになるので、相当にショッキングでした。

そして、コレがよく売れました。日本人ってボタンダウンが好きですから。ただ、アメリカンなシャツがメインストリームで、当時はイギリスのボタンダウンっていうのも入って来てはいたのですが、やはりアメリカの襟型を真似しているだけ。そんな中で、アメリカの襟を真似せずオリジナルのボタンダウンっていうのを初めて見たのが、このボレッリでした。

僕も初めて買ったボレッリのシャツで、タータンもドレスゴードンに似ていますが微妙に違って、イタリアのチェックって凄いなって感心して、かなりヘビロテで着ていました。

だから襟も擦り切れてしまって、芯地が見えています…。それでも着続けるほど、思い入れがあったので、去年復活させたのですが、今の社長ファビオ・ボレッリ氏に聞いたところ、このボタンダウンはフェラーリの前会長ルカ・ディ・モンテゼーモロのために作った襟型だったそうなんです。

ルカ・ディ・モンテゼーモロはブルックスブラザーズのボタンダウンシャツを愛用していたのですが、「それよりももっと良いボタンダウンがある」と言って彼のためにデザインした襟型で、"ルカBD"と銘打たれていたそうです。ちなみに、買い付けていた当時は知りませんでした…。

それで、今回復活させたことにより、名前が"ナカムラBD"に変更になりました(笑)。もう既に型紙も残っていなかったのですが、ファビオ自体は覚えていて、その当時の彼のイメージと、サンプルとしてこのシャツを渡して復活させたので、もの凄く思い入れがあります。復活させてまで展開したいと思ったモノの元祖ですね。

あと、ハケメでロイヤルブルーのイタリアシャツも流行ってたのですが、それもたくさん売れましたし、ギンガムチェックも売れました。当時のイタリアモノのシャツが好きだった方なら、きっとまだ持っている方も多いかもしれません。

Photo:Naoto Otsubo

Edit:Ryutaro Yanaka


中村達也
ビームスクリエイティブディレクター
大学在学中よりBEAMSでアルバイトをし、卒業後ショップ勤務、店長、バイヤーを経て現在はクリエイティブディレクターとしてドレス部門を統括。メンズのドレスクロージングに関するセレクトや論理的な解説が持ち味で、媒体での連載や自身のブログ”ELEMENTS of STYLE”は絶大な人気を博している。


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