4000柄から選んだ ネオ・ヴィンテージなCOROA(コロア)別注ネクタイ
1995年イタリア・コモで誕生したネクタイを中心に展開するイタリアブランド「Fatorri(ファットーリ)」。"他にはない"独自のプリント柄を施したネクタイが有名で、日本でも多くの有名セレクトショップで扱われています。上質なシルクをふんだんに使い、ハンドメイドによるオリジナルのステッチを施したり、大剣裏にある小剣を通すループをずらしたデザインなど、オリジナルの工夫を凝らしたネクタイは まさに芸術品。クラシコイタリア好きなFORZA世代からも絶大な支持を得るブランドの魅力と、日本でのこれからの展開についてデザイナーであるマウリツィオ・ファットーリ氏に干場義雅がインタビューしてきました! ぜひご一読ください。
干場:今日は、お会いできて光栄です。僕も『LEON』時代からファットーリのネクタイは注目していました。創業はいつ頃ですか?

ファットーリ:20年前に友達と共同でネクタイ屋を始めたのが、そもそものきっかけですね。当時24歳でした。それから、本格的に今のプリントにこだわったネクタイを作りはじめたのは、1998年からですね。
干場:ネクタイ屋になったきっかけは?
ファットーリ:私の出身はイタリアのコモ。そこにあるコモ湖の水が綺麗ということと、ファッションの都、ミラノから近い場所ってことでネクタイの産地として有名なんです。そういう環境の下、自然にこの仕事に就きました。
干場:なぜ、プリントにこだわったのですか?
ファットーリ:ジャガード織りのネクタイも作っていましたが、織機とかを買わないと行けないし、コストがかなりかかる。その点、プリントはプリンターを買えば、ネクタイだけでなく、ジャケットやマフラーなどさまざまなアイテムに柄を乗せることができるので可能性が広がるんです。
干場:しかし、プリントは、カラーコンビネーションが凄く難しいじゃないですか? 特に最近だとグラフィックなどもでてきていますし。
ファットーリ:例えば、ペイズリー柄をPhotoshopとかを使って作るとします。同じ色でも、シルクに乗せるか、ニットに乗せるかで色の出方が全く違うんです。そこが難しいところですね。

干場:凄く綺麗なプリントですよね〜。日本ではなかなか見られないイタリアらしい色彩がお見事です。ところで、ピッティ ウォモにご出店はされていますか?
ファットーリ:昔は出てたんですけど……。すぐにコピーされてしまうので辞めました。もちろん見には行きますけどね。今は、ピッティ会場の近くのホテルにクライアントを招待して商談会を設けています。
干場:なるほど。ファットーリさん自身は、トレンドをどのように見ていますか?
ファットーリ:大きなビジネスよりも小さな工房で作られているオリジナルが気になります。大量生産にならず、手作業で自分のこだわったモノづくりをしている所がこれから世にもっと出て行くんじゃないかなと思います。私のビジネスの場合も、ネクタイのみならずプリントを使った新しいチャレンジを常に考えています。ネクタイの次は、ジャケット。その次はダウンジャケット……。みたいにね。
干場:なるほど。プリントの可能性をどこまでも追求し続けているんですね。いまネクタイ以外にファットーリさんがこだわって作られているものはありますか?

ファットーリ:いま売り出しているのは、ジャケットですね。これは、上質なタスマニアンウールを使用しているんですが、全てプリントで起こしたオリジナルの柄を乗せています。軽くて、ストレッチも効いていて着心地も抜群です。最近では、スポーティにジャケットを着るのが流行なので、時代にマッチしたアイテムだと自負しています。カジュアルにオススメです。
干場:これ全てプリントなんですね〜! 凄くリアルだし、色の出方が気絶級に美しいですね。プリントのこだわりはありますか?

ファットーリ:昔は、プリントと言うと、「型」を起こさないといけなくて、多く作らないと元が取れないというのが現実でした。しかし、最近はコンピューターで柄を作ることができるので、いろいろなデザインとアイデアを試すことができるんです。昔は、デザイン会社と制作する工場が別だったんですが、今は全て機械でプリントできて、人も少なくて良い。自分のポリシーは、「一度作った柄を他では出さない」ということ。完全にエクシクルーシブな柄にしています。もちろん、今回の柄も全てエクスクルーシブ! 毎回、コレクションでは4,000柄起こしているんですよ。
干場:4,000柄?! それは毎回ですか?

ファットーリ:そうです。ネクタイに限らず、全てのアイテム用に4,000柄、毎回作っています。今は1960〜70年のレトロな大柄に注目しています。クラシックといえば「小柄」が多かったので、とても新鮮に映ると思ったんです。そういう新しいレトロ感が気分ですね。
干場:僕もクラシックは大好きです。最近では、アレキサンドロ・ミケーレによるグッチの作品を見てもその年代のヴィンテージ感が流行っていますよね。そういう時代の空気も上手く取り込んでいるのですね。
ファットーリ:今回、日本のスカーフブランド「COROA(コロア)」さんからコラボ別注をオファーされました。 それがこちらです。これらも、1960年代の大柄でレトロなプリントを作ってみました。
干場:今回のコロアさんとの別注でこだわった点は?


ファットーリ:コロアさんオリジナルのレトロなスカーフ柄のニュアンスを取り入れました。プリントのサイズを大きくしたのもその点を意識したことろ。最近、クラシックが再熱していますが、ペイズリー柄などはあっても、こういう柄はないんですよ。要は、ありそうでないものを作りたかったんです。

それから、オリジナルのハンドステッチを付け加えました。実は、今ではオリジナルでやっていないのですが……。日本では、コレ(ステッチ)で知ってくれた人が多いというのもあって、今回この仕様が欠かせないと思ったんです。あとは、このループをずらして付けているのが、ファットーリのネクタイの特徴です。
干場:ちなみに、今日の僕のスタイルなら、どのネクタイがオススメですか?

ファットーリ:このネクタイとかいかがでしょう? 干場さんのスタイルから言うと、クラシックなので、これくらい胸元に色気を入れても良いかと。今着ているスーツを見ると、生地はクラシックですが、形がモダンじゃないですか。ネクタイも同様、デザインはクラシックだけど、ジャガードでなく、プリントを使うことによってスーツとリンクする「ニューヴィンテージ」な印象になります。

干場:流石、よく見ていますね〜! まさに、僕のスタイルは「ニューヴィンテージ」というワードがピッタリかも。僕は、滅多にプリントタイはしませんが、これならしっくりきます! ネクタイ1本変えるだけでこんなにも印象が変わるんですね。新たな発見です。嬉しいなあ。これは、どういう風に締めるのが格好良いですか?

ファットーリ:90年代は、大きなノットを作るのが格好よかったけれど……。ディンプルを作って、なるべくキュッと小さく結ぶ方が格好良いです。結び目は、ネクタイの表情を作る上で一番こだわるべきですね。ネクタイも昔に比べて、ずいぶん細くなっています。このネクタイは8㎝。Vゾーンがよりモダンな印象になりますよ。
干場:ビジネスシーンで使うならFORZA STYLEの読者にはどれがオススメですか?
ファットーリ:グレーのスーツだと、白シャツに黒のプレーントゥ。それにこのタイが良いですね。
干場:ネイビースーツだと、どうですか?
ファットーリ:ネイビースーツなら、薄い水色シャツ、ブラウンシューズに干場さんにオススメしたこちらのネクタイ。イタリアの定番配色、アズーロ・エ・マローネでまとめるのがポイントです。もしくは、ブルーのシューズを加えて、ワントーンでコーディネートするのも面白いかも。
あとは、夏時期にはベージュのスーツに白シャツ、ブラウンシューズにこのタイもありですね。

干場:なるほど。コーディネートはネクタイの中の色使いを何色か散りばめると良いんですね。さまざまな色を普段から見ているので、コーディネートも完璧ですね! ちなみに、今日のファットーリさんのコーディネートを教えてください。

ファットーリ:ジャケットは、もちろんファットーリ。これは、タスマニアウールにオリジナルプリントを施した自慢の1着。芯が入っていないので、着心地がすごく軽いんです。シャツは、特にブランドではなくて普通のシャツです。ネクタイはタトゥーをイメージしたファットーリオリジナル。ベルトはオルチアーニ、パンツはPT05、靴はビア・ベルフィオーレです。
干場:プリントタイの面白さと奥深さ、大変ためになりました。今日はありがとうございました。また。ピッティでお会いしましょう!
購入はこちらから。
Photo:Katsumi Murata
Edit,Text:Satoshi Nakamoto

スカーフ・ネクタイの産地イタリアのコモ生まれ。コモの専門学校(seteficio)でテキスタイルデザイン・染色・織物を学び、1992年に自身のブランド"FATTORI"を設立。1998年から2004年までイタリア国内でジャケットやシャツのメンズコレクションを展開。その後2014年までは、メンズ・レディースのプリント生地のデザインを大手生地メーカー"CANEPA"にて展開し、プリント生地中心としたメーカーとして再始動し今に至る。
【問い合わせ】
株式会社 イルレガロ
03-5475-6261
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