良い靴は、素敵な場所へと連れて行ってくれる
さて、第4回めはオールデンのシューズです。「良い靴は、素敵な場所へと連れて行ってくれる」なんて、靴屋の売り文句みたいではありますが、素敵な格言に惑わされ…(40歳を迎えたのに 未だ惑惑[ワクワク])、若かりし頃から世に言う高級靴に足を通してきました。
しかし、典型的なエジプト型の足で親指が異常に長く、しかもスニーカー世代なため 足型に合ってくるまで気合いで履き続けるなんて我慢もできず…、買っては手放すを繰り返していました。
そんなワガママこじらせフットに運良くハマったのが、今回紹介するオールデンのモディファイドラストでした。だいぶ前に上野・アメ横でバリーラストのコードバン チャッカブーツを買ったときは大して感動せず、カカトの雰囲気が気に入らなかったためすぐに手放したんですが、モディファイドラストのVチップはまったくの別物。
土踏まず部分は心地好くフィットし、指の部分には若干のゆとりを感じることができ、今まで高級靴を履くたびに「親指死ぬー…」ってなっていた自分にはまるで女神のような存在でした。
最初は、"ナンバー8"と呼ばれるバーガンディカラーの美しさに心奪われていたんですが、色が抜けてきたので、あえてコルドヌリ・アングレーズ(LA CORDONNERIE ANGLAISE)の黒のビーワックスで磨くことで、バーガンディともブラックとも異なる絶妙な色合いに独自でアレンジ。
ジャケット×パンツ、ジーンズ、軍パン、果てはショーツに至るまで何にでも合わせられる、なんとも憎いあンちくしょうへと育ってくれました。
次が、同じくコードバンのミリタリーブーツ。オールデンと言えば… なタンカーブーツは つま先の雰囲気がどうも好きになれず、やっと出逢えたミリタリーブーツを購入しました。こちらはバーニーズ ニューヨークの別注ということで、現在は購入がほぼ不可能なCウィズなんですが、モディファイドラストのCウィズは、かなりシャープでスッキリとした印象。
世のミリタリーブーツ特有の無骨な感じは一切なく、どんなスタイルにでも取り入れやすく、とても重宝しています。黒い靴が好きでなかった自分(この話はまた後で)を変えてくれた一足でもありました。
ちなみにこちらは、綺麗に磨いて履くというよりは、ヨーロッパなんかでよく見かける、ドコのブランドか不明な靴を履き倒してるオジさんたちを真似て、無造作に履いています。それでも鈍く輝くホーウィンのコードバンっていうのが堪らなく好きで、ご飯一膳くらいなら軽く食べられそうです。
続いては、6EYEチャッカブーツです。先述した通り、かつて今では考えられないくらい安価だった2アイレットのチャッカを悩みに悩んで購入し、しかも速攻手放したんですが、ラコタハウスで出逢ったこのコには一瞬でひと目惚れして溺愛。
こちらもモディファイドラストなので、カカトを含めシュッとしたシルエットでオールデンのチャッカ特有のポッテリ感もなく、細身のパンツとの相性も抜群です。
それと、なんと言っても、このカラーに首ったけ! オールデンはコードバン以外、しかもシボ革に手を出すことはないんですが、こんな綺麗なブラウン見ちゃったら買いますよね。ネイビーにもグレーにも合うし、ホワイトパンツとも好相性。とにかく足元が上品に見えるんです。
ただ、女性には「バスケットボールみたいだね」って言われてしまい、「おっ、おぅ」とヒヨりながらも強がっておいたのは、ここだけの話…。
後編へ続く
Photo:Ko Maizawa
Text:Ryutaro Yanaka
『FORZA STYLE』シニアエディター
谷中龍太郎
さまざまな雑誌での編集、webマガジン『HOUYHNHNM』編集長を経て、『FORZA STYLE』にシニアエディターとして参画。現在までにファッションを中心に雑誌、広告、カタログなどを数多く手掛け、2012年にはニューバランス初となるブランドブックも編纂。1976年生まれ。