買えるうちに押さえておきたい鉄板中の鉄板
円高が進む中、為替の影響を受けやすい腕時計の相場も近いうちに変動があるかと思います。そんな状況下であってもそう簡単に値崩れしないのが、世界中で絶大な人気を集めるヴィンテージロレックスのスポーツウォッチの強みです。
市場にはグレーな商品が山ほど出回っているので、該当するのはごく一部の選び抜かれた個体のみ。さらに、500万円オーバーの世界になると投資の対象として見られがちであることから真贋の問題や転売にはリスクが付きまとうので、よほど信頼できるルートでない限り、購入はそれなりの覚悟が必要だと言えます。
これらを鑑みた場合、まだ何とか個体が見つかるスポーツウォッチの定番ミラーダイヤルは今のうちにぜひ押さえておきたいところかと。
今回ご紹介するのは、その中でも最も入手しやすい「GMTマスター」のRef.1675の1960年代半ば頃に製造された個体です。

1960年から製造がはじまった「GMTマスター」の第二世代にあたるRef.1675は1980年代まで販売が続いたロングセラー。そのため、スティールステンレス製のモデルだけ見ても、ディテール変遷やパーツの違いなどで幅広い購入の選択肢があります。

ミラーダイヤルを搭載するRef.1675の最終モデルとなるこの個体は、パーツやディテールはどれも奇をてらわない王道の組み合わせでありながら、現行モデルでは味わえない雰囲気や奥行きがあります。この年代のヴィンテージロレックスが安定した人気を誇る理由はそこにあるのです。
「誰もが知る定番的なデザインに、個体ごとのオンリーワンの表情が重なる」。これこそがヴィンテージロレックスのスポーツウォッチの魅力であり、その最たる例が経年変化する箇所が多いミラーダイヤルの個体なのです。
この個体の場合、資産的な要素や雰囲気を決定付ける主なポイントは、「文字盤」「ベゼルインサート」「ブレスレット」の3点になります。
雰囲気や価格にダイレクトに反映するのが、肝心要のミラーダイヤルのコンディションです。基本的には状態が良ければ良いほど購入時の価格は高く、資産としての価値もそれに比例します。もし仮にお買い得だと感じ、パーツの年式が噛み合わない個体を掴むと、手放す時に大損する可能性があるので悪しからず(笑)。
交換が可能なベゼルインサートも非常に重要なパーツで、これひとつでまるで別の時計のように雰囲気が変わります。たとえ、定番の赤×青ベゼルであっても、枯れ具合で雰囲気が異なってきます。ブレスレットの選択も同じくです。


一生モノだと思い込んで勢いで買った高価な腕時計を手放してしまうことなんていう話はザラだと思いますが、本当に質の高い機械式時計は一生どころか、時代やオーナーが変わろうとも価値が落ちないものです。年々価格が高騰するRef.1675のミラーダイヤルはその好例だと言えます。
これからいくつかの実例を交えて、バリエーション豊富なRef.1675の魅力について追っていきます。近日中にラグジュアリーな金無垢の個体などを掲載する予定なのでご期待ください。
Photo:Yasuhisa Takenouchi
Text:FORZA STYLE