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FORZA STYLE - 粋なダンナのLuxuaryWebMagazine
LIFESTYLE

【連載】格闘家の入場曲
Round1
ボクサー竹原慎二×ジョー山中の『熱いバイブレーション』

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男が戦いに向かう時、そこには魂を奮い立たせる音楽がある!

『FORZA STYLE』読者の皆さん。はじめまして、格闘技と長渕剛先生をこよなく愛す昭和49年生まれのサムライ平岡です。

突然ですが、皆さんは何かに立ち向かう時、不安で押し潰されそうな時、どんな音楽を聴いているでしょうか? プロの格闘家たちは、戦いのリングに向かう時、自分の入場曲というものを持っています。この入場曲には、唄が入るものや、曲だけのものなど、さまざまなものがあります。後にファンから親しまれ、その格闘家のテーマソングとして定着し、その曲を聴くと格闘家を連想させてくれるものもあります。例えば、有名なところで言えば、『炎のファイター』=アントニオ猪木さん。『スパルタンX』=三沢光晴さんなど……。いずれにしても、この入場曲、自分のテーマ曲というのは、格闘家たちが自分自身でアドレナリンを上げていくための無くてはならない存在です。もっと言ってしまえば、我々、40代という社会の荒波を生きる男たちの応援歌でもあるのです。そこで、格闘技観戦歴25年。常にリングサイド観戦をモットーにするわたくし、サムライ平岡が、格闘家の魂を奮い立たす入場曲、40男の応援歌を毎回紹介したいと思います。

記念すべき第1回目の今回は、元ボクシング第20代WBA世界ミドル級チャンピオン、竹原慎二さんとその入場曲『熱いバイブレーション』についてご紹介していきます。竹原さんと言えば、TBSの『ガチンコファイトクラブ』で広島弁を話すコワ~い存在だったのを皆さんも記憶にありますよね。そんな竹原さんでさえ、現役当時、リングに上がる前は不安や恐怖などと戦っていたそうです。ということで今回は、竹原さんに直接インタビューさせていただきました。入場曲がどのような存在だったのかを聞いてみましたので、世界タイトルマッチ時の状況踏まえご紹介いたします。

1995年12月。24戦目で挑んだ初の世界タイトルマッチ。ダウン経験の無い不倒のチャンピオンを、渾身の左ボディブローで悶絶に追い込んだその男こそ、圧倒的な相手へのプレッシャーとパンチ力で世界を制した竹原慎二さんだ。強豪ひしめくミドル級では、体格に劣る日本人には挑戦することさえ無理な階級と言われていた。そのリングに上がる事となった竹原さんは、不屈の闘志を拳に宿しリングへ向かっていた。

 

控室でトレーナーのミットを打ちながらその時を待つ。入場のアナウンスが流れ、入場曲『熱いバイブレーション』(唄:ジョー山中氏)の生唄がリングから放たれる。深々と黒いフードを被り、ボクシンググラブを数度叩き、曲のボルテージとともに自分の気持ちを奮い立たせていた。

不安で押し潰されそうな時、それでも立ち向かわなければならない状況は誰しもが直面するもの。友人、同僚、家族の支えはもちろんだが、一人になった時、音楽で前に進めることもあるのだ。

竹原さんの入場曲『熱いバイブレーション』には控室からリングへ上がるまでの数分間、自身の覚悟を支え、気持ちを奮い立たせる大きな力になっていたという。

この曲を選んだのは、ジョー山中氏が同じジムに在籍時、会長との縁で竹原さんが日本チャンピオンになった時に書き下ろす約束をし、ジョー山中氏から直接頂いたものだそう。

竹原さん曰く、
「当初は、映画『ロッキー』のテーマのような派手さが無く、実はパッとしない印象でした。日本チャンピオンになり防衛戦やビッグマッチを行うにつれ、不安や恐怖が圧し掛かる状況下。『逃げられない』、『やるしかない』という、ふたつの思いが交差しました。そんな花道をリングに向かう途中、『一か八かの出たとこ勝負、笑ってみせるさ』という歌詞が響き渡ってきたんです。この時点で、開き直って、やるしかないという気持ちに向かわせてくれました」と話してくれた。

竹原さんにとって入場曲『熱いバイブレーション』とは、いろいろな縁で作って頂いた曲でもあり、気持ちを常に前に向かせてくれ、ともに世界チャンピオンという目標に立ち向かい、歩み辿り着くことが出来た「かけがえの無い大切な曲」だったのです。ご存知の方も多いと思いますが、2014年2月、突然の病が竹原さんを襲いました。5年生存率40%未満の癌におかされ、絶望の淵に立たされていた際も不屈の闘志で乗り切った竹原さん。現在は、自ら会長を務めるジムで後進の指導に力を注いでいます。

『FORZA STYLE』読者の皆さんもそれぞれ戦う舞台や状況は違うと思いますが、気持ちを固めなければいけない場面に直面した際、連想する「自分のテーマ曲」を持つことは、一歩踏み出す勇気を与えてくれるかけがえの無い力になり得るのです。

Photo,Text:Samurai Hiraoka

【プロフィール】
サムライ平岡

格闘技と長渕剛をこよなく愛す昭和49年生まれ。
宮本武蔵の「万里一空」という言葉に感銘を受け、サムライ平岡と名乗っている。
出没場所:後楽園ホール。

【取材場所】
竹原慎二&畑山隆則ボクサ・フィットネスジム
東京都大田区大森北1丁目37-2
03-6450-0978
box-fitness-gym.com

 



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